幕間:質問コーナー
質問コーナー:ここまでの議論、ちょっと聞きたい!
(ライトが柔らかくなり、後方スクリーンに「質問コーナー:ここまでの議論、ちょっと聞きたい!」の文字が浮かぶ。
あすかが、タブレットを手に笑顔で観客席に向かって語りかける)
あすか(明るく)
「さてさて、ラウンド3まで熱い議論が続いてまいりましたが……
ここで少し、視聴者の皆さんから寄せられた質問に答えていただこうと思います!」
あすか(ニッと)
「会場の皆さんも、配信で観ている方も、“それ、ちょっとわかりにくかったかも”ってところ、ありますよね?
そういう声を、対談者の皆さんにぶつけてみようというコーナーです!」
---
質問①:「“共感”って、経済に必要なんですか?」(ペンネーム:共感より現金)
あすか(やや笑いながら)
「……うーん、わかります、その気持ち。“共感より現金”。
というわけで、これはアダム・スミスさんに伺いましょう!」
スミス(微笑しながら)
「ご質問、ありがたく拝受しました。
“共感”とは、単なる感情ではなく、道徳感情の基盤です。
人は他人の立場に自分を置き換える能力を持っています。
それが“公正な取引”を生み、“信頼”の社会を育てる。」
スミス
「市場は“契約”の場であり、契約には信用と信義が不可欠。
ゆえに、共感は経済の土壌なのです。」
あすか(感心して)
「なるほど……“感情の話”じゃなく、“仕組みの土台”ってことなんですね!」
---
質問②:「“超人”って、どういう意味ですか?」(ペンネーム:自信ない系女子)
あすか(くすっと笑いながら)
「これは……フリードリヒ・ニーチェさんにお願いします!」
ニーチェ(目を細めて)
「“超人”とは、既存の価値観を超え、自ら意味を創る者だ。
神が死んだ時代、人々は“他人が定めた正しさ”を信じるしかなくなった。
だが、超人は違う。“自らの法”を持つ。」
あすか
「……かっこいいけど、難しい!」
ニーチェ
「“かっこいい”などと言っている間は、まだ辿り着けぬ。」
あすか(苦笑して)
「はい、がんばります……」
---
質問③:「“格差”を悪と断じない鄧さんの真意は?」(ペンネーム:正義中毒)
あすか
「これは鋭い質問ですね!鄧小平さん、お願いします。」
鄧(静かに)
「“格差”とは、“変化の結果”でもある。
成長とともに生じる差は、動的で調整可能だ。
私は、それを“固定化しない”ことに注力してきた。」
鄧
「是正の道具を持つことで、格差は“破壊”ではなく“発展”のプロセスに変わる。
問題は、“差があること”ではなく、“閉じたままであること”だ。」
あすか(小声で)
「……“開いていれば、やり直せる”。そういう希望ですね。」
---
質問④:「“善”や“道徳”って、誰が決めてるの?」(ペンネーム:価値観迷子)
あすか(少し真剣に)
「こちらは……モアさんとニーチェさんの両方にお答えいただきたいと思います!」
モア(ゆっくり)
「私は“神と良心”が、人間の“善”を導くと信じています。
その声は外からではなく、内から聞こえるものです。」
ニーチェ(すかさず)
「だがその“声”が、誰かに植え付けられたものだとしたら?
善も道徳も、**力ある者の“支配装置”**だ。
だからこそ、私は問い続ける。“それは本当に、おまえ自身の声か?”と。」
モア(静かに)
「私には、それでも“他者を思いやる”という価値だけは、
何者の支配でもないと信じたい。」
あすか(小さく微笑んで)
「……なるほど。答えが分かれるのが“深い問い”ってことですね。」
---
あすかのまとめ
あすか(明るく)
「さてさて、まだまだ聞きたいことは尽きませんが……
質問コーナーはここまで!」
あすか(少しだけ間を置いて)
「“人間とは何か?”という根本的な問いが、
ここまでの議論にも、質問にも、通奏低音のように流れていました。」
あすか(表情を引き締めて)
「ということで、次はいよいよその核心——
『未来社会の人間像』について、4人に語っていただきましょう。」
(照明が切り替わり、スクリーンに「Round 4:未来社会の人間像」が浮かび上がる)