オープニング:静かなる討論のはじまり
(スタジオのライトがふわりと灯る。コの字型のテーブルを囲むように歴史上の偉人たちが座っている。その中央、金のロゴ「歴史バトルロワイヤル」が輝く背面に、あすかが姿を現す)
あすか(微笑みながら)
「ようこそ、お越しくださいました。歴史と思想が交差するこの場所、「歴史バトルロワイヤル)へ。
本日のテーマは——『ベーシックインカムを考える』です!」
(BGMが軽快にフェードイン。スタジオの照明が徐々に対談者たちに当たっていく)
あすか(トーンを少し落とし)
「ベーシックインカム。すべての人に無条件で一定の所得を支給するというこの制度。
“自由”を支える夢の制度なのか?それとも、“怠惰”を招く危険な幻想なのか?
今日のゲストは、時代も思想も超えて、この難題に挑む最強の論客たちです!」
(拍手のSEが入る)
あすか(手元のタブレットを見つつ)
「まずはこの方。“神の見えざる手”を唱えた近代経済学の開祖、スコットランドの賢人——アダム・スミスさん!」
スミス(落ち着いた声で)
「お招きに感謝します。経済の話ができるのは、いつでも歓迎ですよ。
……ですが、“無条件でお金を配る”とは、さて、何とも興味深い着想ですね。」
あすか(すかさず)
「ええ、“興味深い”って言うときのスミスさん、だいたい警戒してますよね?」
(スタジオに笑いが起こる)
あすか(続けて)
「さて、お次は理想社会を描いた名著『ユートピア』の作者であり、道徳と信念を貫いた殉教者。
——トマス・モアさん!」
モア(柔和に微笑んで)
「現代の人々が“貧困”にいまだ苦しんでいることに心を痛めています。
理想の社会を語るだけでなく、実現する手段としてBIを考えることは、決して夢想ではないと信じています。」
あすか(軽くうなずき)
「さすが“理想”の代弁者。
でもモアさん、今日の相手はなかなか手強いですよ?」
モア(穏やかに)
「討論は、魂を磨く機会ですから。」
あすか
「続いては、“改革開放”で中国を目覚めさせた現実主義の巨人。
“白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのが良い猫だ”の名言でも知られる、鄧小平さん!」
鄧(短く、低く)
「実験には価値がある。
……ただし、理念だけで人民の腹は満たせない。」
あすか(思わず)
「それ、出ましたね。“理想より腹”理論。今日も手厳しそうです!」
鄧(わずかに口元をゆるめる)
「幻想を切り捨てるのが、現実を進める道だ。」
あすか(ピンと背筋を伸ばし)
「そして最後にお迎えするのは……今日の火薬庫!
“神は死んだ”と宣言し、道徳と常識をぶち壊しにかかった哲人。
——フリードリヒ・ニーチェさん!」
ニーチェ(椅子にもたれながら、にやりと)
「この対談の中で、誰かが“働かなくてもいい”などと口走るのを、私は待っている。
その瞬間こそ、この会話が本物になる。」
あすか(目を細めて)
「お、お手柔らかにお願いしますよ、ニーチェさん……!
観覧の皆さんも、消されない程度に応援してくださいね。」
(全員にふわっとライトが当たり、音楽がフェードアウト)
あすか(姿勢を正して)
「それではまいりましょう。歴史の頭脳たちが挑む、“未来”の議論——
開幕です。歴史バトルロワイヤル、第一ラウンド!」
(カメラがテーブル中央を捉え、BGMのビートが高まる)