それは戦というにはあまりにも一方的すぎた
「さぁみんな!行っくよ〜!」
各々の陣営が、戦いの始まりを合図する。
そして、3つの陣営がぶつかり…合わない。
ウチは開始早々離脱していた。
ぼちぼち狩ろうと思っていたからだ。だが、シャルルマーニュの陣営の方角からだろう。恐らく、先遣隊だ。先遣隊とやり合っている間に、ウチ以外のアストルフォ陣営を別の隊が挟み打ちにしてくる。
そして、アストルフォ陣営は一瞬で全滅した。
ウチ以外は。
次はブラダマンテ陣営を襲いに行くのだろう。
全員で襲いにいくという野暮ったい事はしないだろう。
シャルルマーニュ陣営に向かう。
ビンゴ。
やはり何人かは在駐していた。
遠くから、高濃縮爆炎袋を撃つ。
殆どが爆発に巻き込まれ死滅。あとは炎に飲まれ、時間の問題だろう。
さて、と。漁夫の利といこうじゃあないか。
まったくもって早踏みのレッグスは便利だ。もう着いたよ。
状況はというと…今から挟み打ちやな。
集団の中心に…って何だこのパワーの源泉みたいな所は。
なるほど。コイツァラッキー。
聖職者の短剣を地面に突き刺す。そして糸を伝えて聖典にエネルギーを流し込む。
「許し給え此度の殺戮。赦し給え此奴の罪。懺悔を求め、罪を認める。許された。赦された。救済の為に、糸を広げよう。………鉄糸結界」
詠唱が終わると同時に、自分を中心に、周りの人達が小間切れになっていく。慌てて逃げ出した人も、小間切れになる。残ったのは自分だけ。
「あァァァァァアァ!!!!!!!」
遠くから雄叫びが聞こえる。何かが走ってくるのが見える。
「オォォォォマァァァァエェェェエエ!!!!!!!」
何の怨嗟だろうか怖い。怖いから短剣を矢にして狙撃する。あ、死んだ。
こうして、何のためかがよく分からない合戦が終わった。ほぼウチの一人勝ちで。
その後の同陣営の殺し合いは、皆様が仲良く降参したおかげで早々に終わった。アストルフォも引いているように見える。
ちなみに豪華景品は、多額の通貨と、アストルフォの装備に似せた装備。豪華、なのか?
<後日>
「うわぁ」
「どしたん」
「オルタネイトワールドっていうゲームの何かすごい戦闘シーンの切り抜きなんだけどさぁ」
「なにグロシーンでもあった?」
「それもだけど、何が起こったのこれ」
「さぁ?」
他人事な当人であった。
参加者一同「酷い夢を見た」