どうしてこうなった
ウチが最初にスポーンした街。帝都は、実力至上主義の国だ。(国やったんかい!)
そこをぶら~りと探索していた。レンガ造りの建造物が目立つ街並みは…っていう所で、決闘を申し込まれた。
大剣を担いだコラ画像のようなお兄さんは、「俺が勝ったらお前を貰う」と申す。ナニイッテンダコイツ。
と思ってた所で、コラ画像兄さんが、邪な視線でウチを見ていたのに気付いた。ほぅ少し遊んでやろう。
決闘開始のゴングが鳴る。ルールは相手に一撃入れた方の勝ち。
コラ画像兄さんはウチを、ウチはコラ画像兄さんのあり金持ち物を全部貰うという条件でだ。よほど自信があったのか、2つ返事で了承してくれた。
コラ画像兄さんは、大剣をまるで包丁のように振り下ろす。コッチも何処かで買った短剣を持ち、持ち前のスピードで…なんてつまらない事をせずに、大袈裟に避ける。揺れる所が揺れるように。
「おっとと〜」
やっべ何これ楽しい。一振りを避ける度にコラ画像兄さんの額に青筋が浮かぶ。
「ほらほら〜。そんなカッカしてると当てられないよ〜」
もう顔がまっかっかだ。
「さて、もう飽きた。本気で殺るよ」
さっきまでの舐め腐った態度とは一変。もう飽きたからすぐさまケリをつける。
挑発までされた挙げ句、勝手に飽きた宣言をされて怒り心頭のコラ画像兄さんは大剣を振り下ろす。だが、もうそこにウチはいない。
背後に回ったウチは短剣で斬りつける。
コラ画像兄さんは反応が遅れて背中を斬られる。
「「「おお〜」」」
いつの間にか湧いてたギャラリーが歓声を上げる。
ギャラリーを割って現れるオッサンが一人。
「俺と戦え。俺が勝ったらお前を婚約者にする。お前が勝ったら、国をやろう」
ナニイッテンダコノオッサンと思ってたら、帝都の王様だった。
「どいつもこいつも自信満々だね」
面白そうだから受ける事にした。
そして、どうしてこうなった。
結論から言おう。勝った。
王様が剣を振り下ろす。だが横から刃が迫る。俗に言うマトリックス避けで避ける。刃が通り過ぎた事を視認したら、バックステップで間合いから離れる。
「ほぅ。今のを避けるか」
コッチは冷や汗がダラダラだ。そりゃあ王になれる訳だ。
お互い対面した状態で隙を伺う。何処から回り込もうとしても斬られるイメージしか湧かない。
あっちがフェイントをかけるならコッチも同じことをするまで。右に左にステップを刻む。だがアイツの剣筋は一点を向いている。
一瞬だけ止まる。そこをもちろん突いてくる訳だが、アイツが一歩を踏み出した時点でもうそこにはいない。
ウチとアイツの間の距離はだいたい10歩。アイツが1歩踏み出した時点で左に動く。2歩目で剣を振り上げるが、構わずにさっきの位置に動く。3歩目で剣を振り上げる。コッチは左に動く。4歩目で剣を振り下ろし始める。コッチは短剣を構える。5歩目で振り下ろした剣先がウチを捉える。6歩目で剣先がウチに触れ…る訳も無く、身を屈めて相手の横っ腹に短剣で切り込む。
「お見、事…」
当てられた所を抑えながら言われるお褒めの言葉。
〜戴冠式〜
「この者を、王と定める!!理由はたった1つ!俺がこの者に王座をかけて戦い!敗北したからだ!」
国民の反応を見る限り、賛否両論て感じだ。だがここは実力至上主義国家。強い者が全て。
王の証である冠が被せられ、この国に古くから伝わる選定の剣を受け取る。
『条件を満たしました。スキル“紅の王”を入手しました』
今更ながらに言おう。どうしてこうなった…。
β時代編は多分もう少しで終わりま〜す。