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第3話

 語り手が途中で変わっています。

 前半は本来の主人公である担任教師の妻です。

 後半から主人公の担任教師になっています。

 結局、それ以降、夫もその教え子も全員が行方不明のままです。

「現代の神隠し」

 等とマスコミは騒ぎ立て、様々な調査がそれこそ警察や教育委員会といった公的機関によって行われ、更に民間の有志と称する面々までもが自発的に参加して行われましたが、文字通りに夫もその教え子達の髪の毛一本さえも遺されておらず、当然のことながら、誰一人見つかりません。


 実際にどう考えてもアリエナイ話なのです。

 夫やその教え子達が行方不明になったのは、その日の2時間目の授業中と推測されています。

 2時間目と3時間目の間の20分休みの時に、夫やその教え子達が他の教師や児童に目撃されたという情報が無いからです。


 そして、2時間目の授業が問題の自由活動の時間に、夫とその教え子はかくれんぼをした筈です。

 実際に2時間目の授業が始まった直後の頃に、問題の小学校の運動場に夫とその教え子達が集まっていて、班単位で分かれてかくれんぼを始めたのを目撃したという教師や児童の複数の証言があります。

 かくれんぼなので、鬼役の子数人を運動場の中心において、夫や他の子は校庭の陰や校舎の陰に入っていき、暫く経ってから、鬼役の子がかくれた子を探しに行って、運動場から姿を消しました。

 それが夫やその教え子達が目撃された最後となりました。


 とにかく、夫やその教え子達が小学校の校外に出ていなくなった、とは考えられません。

 まず、小学校の周りには人家や商店があり、その中には複数のコンビニ等まであって、防犯カメラまでもが近隣に設置されています。

 しかし、校長からの一報を受け、警察が慌てて捜索に取り掛かる一方で、小学校の周りにある全ての防犯カメラの画像を検証しましたが、夫もその教え子も誰一人、行方不明になった時間帯に撮影された防犯カメラの画像には写っていませんでした。


 それに平日の午前中とはいえ、それなりに人通りのある街です。

 通行人や車の運転手が誰一人、それらしい人物(夫やその教え子達)を街中で見かけないということがありえるでしょうか。


 それでは小学校の敷地内に夫やその教え子達がいるのか?

 それはもっとあり得ません。

 それこそ20分休みの間に、他の教師や児童が誰一人、夫やその教え子達を見かけていないのです。

 そして、騒ぎになった後、児童をすべて帰宅させ、それこそ行方不明になった児童の身内まで加わって、警察や教師と共に学校の敷地内を徹底捜索したのです。

 でも、髪の毛一本、見つからなかったのです。

 私も娘を背負ってこの捜索活動に加わりましたが、夫が何処に行ったのか、不思議でたまらず、本当に泣きながらの捜索活動になりました。

 私は夫の帰りを待つことにしましたが、どうしてこんなことに、と考えざるを得ません。


「なあ、妻や子に会いたいのだが」

「無理だよ。今の僕にそんな力は無い」

 妻の悲嘆を見かねて、僕は教え子の隠に言ったが、隠の答えは冷たいものだった。


「確かに僕は連れ子養子の身だけど、隠家の血を引く者でもあるんだ。だから、こうなったのだろう」

 隠は年に似合わない老成した口調で言った。

「元々は隠家は鬼で、人をさらう存在だった。でも、人間の女性に恋をしてね。人間に混じって暮らすようになった。その際にあの昔話をでっち上げたんだ。そして、自分に呪いをかけた。人目のある所では人をさらえない、とね。でも、かくれんぼをすると人目が無い。だから」

「そういうことか」

 教え子の隠は、少なくとも表面上は小3の男の子だ。

 それ以上のことを僕は言わせたくなかったし、聞きたくなかった。


 僕や隠の周りには、30数名の教え子、クラスメートがいる。

 皆、家族の下に帰りたがっていて、家族が自分からは見えているのだが、隠曰く、異空間に自分達はいて、どうにも向こうからは僕達は認識できないらしい。


 更に言えば。僕も教え子達も空腹も眠気さえも感じない存在になっている。

 隠の言葉によると、この異空間内部では時が全く流れないらしい。

 だから、僕や教え子達は空腹や眠気を感じることは無い。

 だが、その一方で異空間の外部、本来の世界では容赦なく時が流れて行く。

 このまま行けば、僕や教え子達は年を取らないのに、本来の世界では時が流れ、周囲の人達は年を取る一方になるだろう。


「先生、何とか元の世界に戻れないの。お父さん、お母さん、それに兄弟姉妹に会いたい」

「一生懸命に家族が自分を探しているのを見ると堪らない。何とか家族の下に戻りたい」

 教え子達は口々に僕に訴えてくる。

 だが、僕にはこの状況を打破するために打てる手がない。

 この状況を何とかできるとすれば、それは隠だけだ。


「隠、何とかできないのか」

「僕だって何とかしたい。でも、僕の鬼の血は薄い。だから、人をさらうことはできても、人を返すまでの鬼の力が無い。もう少し僕が大きくなれば、人を返すことが出来たけどね」

「そして、ここでは時が流れない」

「そう僕は大きくなれない」

 僕と隠は溜息を吐いた。

 これで完結させます。


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