エルフの王子
宿屋で一晩過ごしたセイルは、材木を届けに建設現場に来ていた。
ヤバコ会長から聞いたのだが、エンシェントで新しい研究所を作るのに必要らしい。なおさら何で新人に任せたのか分からない。
建設現場を歩いていると、後ろから声を掛けられた。振り返ると若い青年が立っていた。
「久しぶりだねセイルくん。元気にしてたかな?」
『えっ…ニールさん?どうしてここに?仮にも王子でしょ!?』
声を掛けたのはエルフの国の王子ニール。以前に瀕死だったニールを、最高難易度の迷宮から伝説の回復薬エリクサーを半日で持ち帰り、命を助けた事から知り合いになった人物。
普段は王城で過ごしているらしいが、セイルが来たと連絡があり、朝一で会いに来たらしい。
「セイルくんには感謝しきれないよ。実はねセイルくん、この研究所はエリクサーを作る為に作るんだ。その研究所の資材をセイルくんが持ってくるとは何かの縁がありそうだ♪」
笑顔で話すニールと話しつつ更に歩いて行くと、人溜まりが出来ていた。後ろから様子を見てみると、建設業者と運び屋組合員とで言い争いをしていた。
「何時になったら材木がくるんだ!エルフを舐めとるのか人間!!」
「滅相もございません!今こちらに向かって居ると連絡が来ていますからどうかお待ちになってください」
どうやら資材が来てない事で揉めているらしい。セイルが間に入ろうとした時、隣にいたニールが口を開く。
「少し静かにしなさい。資材ならこのセイルくんがしっかり持ってきていますよ。さぁセイルくん。出してください」
いつになく冷たい口調で話すニールに全員が凍りつく。いきなりエルフの王子に威圧されればこうなるだろう。
セイルは言われた通りに材木を全て出すと、ガチガチに固まった運び屋組合員に受け取り受領印を押してもらう。
「たたた、確かに、、材木300本受け取り確認しました……」
『じゃあ私はこれで。次からはちゃんと計画してくださいね?二度目はないですから』
少し脅してやると、泣きながら何回も頭を下げて御礼をしてくれた。頑張れ!
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「糞が!エルフと人間の仲を悪くしようとしたのに!台無しじゃないか!!」
建設現場から少し離れた屋敷から様子を見ていた領主ニースベルは怒りを露にする。
「我々エルフは優秀な種族なんだ!それなのにあんな人間の手を借りなければならないのだ!!ニール王子があの時……」
『死んでいれば良かった……とか言わないよね。ニースベル領主様。』
ニースベルが振り返ると、さっきまで建設現場いたはずのセイルとニール王子が立っていた。




