王都へ
リーフと別れたレイスは、王都に向けて全速力で空を飛行していた。地上では気を失っている弟レイルを乗せた神狼リルが、レイスに合わせて並走していた。
「あの~リルさん?リーフさんと一緒でなくてよいのですか?」
『大丈夫ですよレイス様。リーフはあの男と深い因縁がありまして……まぁ大丈夫です。セイル様より魔王討伐後から特訓と称して魔界で修行されていましたから。』
(魔界かぁ~…セイルは私が魔界に行く事だけは許さなかったな。人間が滞在が出来ない程の環境で、セイルでも3分しかいれないと話していたし……リーフさんって実はヤバい人なのかも?)
そんなことを考えていると、前方から大量の魔人達がこちらに突撃してくるのが見えた。
レイスは上空から一掃しようと技能を発動した時、背後から近づいてくる強大な力を放つ2つの人間が魔人達に突っ込んだ。
レイスは一体誰かと様子をみていると、魔人達のほぼ全員が今にも逃げたしそうな悲惨な顔をしているのがわかった。魔人達が恐れる人物達は極限られているからだ。
そんなことは露知らず、土煙の中から現れた人物は滅多に人前に現れない種族であり、1人は水掻きのついた水色の鱗を持つ青年の魚人。そしてもう1人は純白のローブを羽織り、ピンクのロングヘアーに綺麗な蝶の羽を広げる妖精の少女だ。
「ふぅ~…やはり深海から陸までは遠いですな~…」
魚人が腕を回しながら魔人達を睨めつける。彼の鍛え上げられた筋肉は、魔人の数倍はあるのが遠くからでも分かる程だ。
「久々のセイル神様からの御神託!セイル神様の伴侶様を守るこの大事なお役目は私めが必ず!!」
妖精は懐から分厚い本を取り出し、ページを高速で開き始める。すると彼女の背後に千を越える魔方陣が展開され、蝶の姿をした各属性の攻撃魔法が魔人達を襲い始めた。
魚人もまた腰にぶら下げた《アイテムボックス》から無数のトライデントを取り出し、両手で一本づつと残りを空中に展開させた。トライデントは魔人目掛けて飛んでいき、魚人自らも両手のトライデントを振り回して魔人達を次々と葬っていく。
上空から様子をみていたレイスに、魚人と妖精は先に行くようアイコンタクトをする。2人に頭を下げたレイスと神狼リルは、彼らが開けた道を通り王都を目指した。
レイス達が通り過ぎた後、魚人と妖精は
息1つ乱れず暇潰しの様に約1万の魔族の軍勢を蹴散らしていた。
「よっと!取りあえず終わりかな?そっちはどうだセレーヌ?」
魚人がトライデントを仕舞いつつ、妖精に声を掛ける。妖精は分厚い本を閉じ、目を閉じながら返事をする。
「こちらも終わりましたよギレン。しかし些か弱すぎますね。私達が強くなったのもありますが、魔人の質が下がっているように感じました。やはりセイル神様が予想した通りなのでしょう。セイル神様が私達……【ライトニングパープル】を召集する程の事態が起きているのですから……」
2人はレイス達を追いかけるため、王都へ向かい始める。まだ2人は分からない……王都でこの世界の存亡を左右する事態になっていることを…………




