荷物持ち?
レイスの無茶振りを了承したセイルはエンシェントへ走り出していた。
『レイスに頼まれたらやるしかないよなぁ〜…。まぁいつも通り行きますか!《案内人》発動』
掛け声と共にセイルの左眼が蒼く光り輝くと、脳内に声が響き渡る。
「《案内人》起動を確認しました。エルフの国エンシェントへの最速行路を算出。直ちに実行します」
聞き慣れた音声を聞いたセイルは、更にスピードを上げてエンシェントへ向かっていった。
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遡ること1時間前………
運び屋組合の職員総出で300本ある材木を、一生懸命外にある運搬所に積み上げていた。
全て積み終わると、ヤハゴ会長がセイルに恐る恐る話し掛ける。
「こちらが運んでいただく材木でございます……かなりの量ですが大丈夫でしょうか?」
高く積み上げられた材木を見たセイルは、何事もない様に返した。
『大丈夫ですよ。この量なら《アイテムボックス》1つで間に合うので。』
ヤハゴ会長から運搬する材木約300本を《アイテムボックス》が掃除機の様に材木を吸い込んでいく。
その様子を見ていた【運び屋組合】にいた全員が息を飲む。
普通の《アイテムボックス》では、材木300本入るはずがない。最低でも国宝クラスの《アイテムボックス》でなければ入らない量だ。
しかも『1つで』と言う発言から、複数持ち合わせていることが分かる。改めてレイス王女が言っていたSランクパーティーの荷物持ちだと全員が理解した。
周りの反応を気にせず準備を終えたセイルは、レイスに別れの挨拶を掛けた。
『これでよしっと。レイス!早くて明後日には帰って来ますので』
「分かりました。帰ってきたら是非王城へ来てください!王女として、命の恩人としておもてなしをさせて下さい」
『分かりましたレイス。じゃあ行きますね。《技能自動化》発動』
掛け声と同時に金色に光るセイルは、レイスに手を振りながらエンシェントに向けて走り出した。
電光石火の如く走り過ぎた様子を見た全員は確信した。本当に荷物持ちなのか?何故それだけの力があるのに荷物持ちをしていたのかと……




