それぞれの戦い①
「くっ!?いつからここに来ていた!?存在すら感じ取れなかったぞ!?」
【弟】は拘束されたまま突然現れた1人と一匹に驚いていた。決して油断していた訳ではない。姉との対決に邪魔が入らないように認識阻害の結界を展開し、半径10kmを対象に探知技能で警戒していたのだ。
驚いている【弟】を尻目に、リーフはレイスの方に振り向き、笑顔で答えた。
「レイス様……ここは私達に任せて……コイツは……私が始末をつけないと……セイメイ様……義姉様に示しがつかないなからね!」
「それってどういう……」
レイスが詳しく尋ねようとしたが、王城付近にただならぬ邪気を感じた。それは以前に戦った魔人や無毒食虫植物の比にならない程だ。
「やっと来たか。全く困った器だぜ?ほらほら!早く行かないとみんな死んじゃうよ~?」
話している内に【弟】は幽霊のように拘束していた蔦から脱出していたが、リーフにすぐ拘束されていた。
「さぁ行ってください!貴女には守るべき人々がいるはずです!!王女として民を守りなさい!!」
《案内人》からも『まだ間に合うから急ごう』と指示もあり、レイスは全速力で王城へ駆け出した。
もちろん黙って【弟】が見逃すはずはない。レイスに手を伸ばそうとするが、リーフが楯になるよう立ち塞がる。
「邪魔をするな!死ね!!《獄炎》」
黒い炎を放つ【弟】に対して、リーフは冷静にある技能を言い放した。それは《世界樹》を通して知ったリーフと、一部の人間しかしらない技能の本来の使い方。
「消えろ《獄炎》!!」
リーフから放たれた黒い炎は、【弟】の《獄炎》の半分程の大きさだったが、ぶつかった瞬間に【弟】の《獄炎》を呑み込み消滅したのだった。




