レイスの祖先と時間操作
「まず《付与》について改めて説明するが、基本的に自分が習得している技能を他人に与える技能だ。だが、瀬戸瑠依は《付与》以外の技能を習得していなかった。」
イデアは困惑する。それでは、技能を与える為に呼ばれた意味がないのではないのかと。
「勿論この事を知っていた創造神は、自分の代行者である《大聖女》セイメイ・フォン・サーシェスと協力して、瀬戸瑠依に技能習得を取り組む事になった。勿論、時間に限りがあるので特殊な空間での修行となった。」
セイメイ・フォン・サーシェス……現代の人間国の王族の先祖にあたる人物……。道理でレイスが化け物染みた才能はそこからかと感心するイデア。
「まだ気が付かないかい?特殊な空間とはここの事を言っているのだよイデア?」
セイルがもう一度指を鳴らす。するとイデアはどんどん老けていき、気が付いた時にはもう手遅れだった。
イデアは何故セイルの話を聞いているのか?そもそも何をしようとしていたのか全く思いだせなくなっていた。
『お、俺は何をしているんだっけ?何か大事な事をしていたような気がするよ……う…………な………………』
イデアは静かに永い眠りへと落ちていく。セイルはため息をつきながら聞こえていないだろうイデアに語りかける。
「君は重大なミスを犯した。この洞窟の設計者に勝てるわけないだろう?」朽ち果てていくイデアを眺めつつ、セイルはもう一度指を鳴らした。そうすると埋め立てられてしまった聖力の泉が元の状態で復活した。
「まぁ前に来た時に設定し直したから良かったけど、相変わらずセイメイが考えた【指を鳴らすと時間を操作出来るシステム】は便利だな。あっという間に死んじゃったよ♪」
セイルは満足そうに洞窟を後にしたのだった。
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魔界 イデア第一研究所
ベッドで横になっていたイデアは目を覚まし自分の身体を確認すると、直ぐに《変幻自在》達に連絡して作戦決行の合図を指示した。
『はぁ……はぁ……セイルの野郎ふざけやがって!念のために覚えた《仮身体》で会って正解だったぜ!絶対に殺してやるぞセイル!!』
誰もいないはずの研究所にイデアの怒号が響きわたる。まだイデアは気付かない。もう1人の女性がいることには……




