復讐
レイスがラフレシアと戦闘を開始した頃、セイルは明かり1つ無い真っ暗な空間にいた。
レイスを指定して転移したはずだったが、強制的にキャンセルされこの空間に呼び寄せられたのだ。
「ここはいったいどこなんだ?」
『マスター。位置情報を確認したところ、フェンリルト王城の地下のようです。何者かが故意にマスターをここに転移させたようです。』
「そうだよセイル君。いや《案内人》が喋っていたのかな?」
謎の声と同時に辺り一面が光に覆われ、セイルが右目を咄嗟に閉じる。再び目を開けると、辺り一面にラフレシアらしき根っこに繋がった1人の獣人が現れる。
「久しぶりですねセイル君。《案内人》も相変わらず隙がありませんね?あの閃光の中でも的確に攻撃を躱すとは……」
現れたのは元【ライトニングパープル】のメンバーであり、今回セイルに手紙を出したライト本人だった。
「てっきりセイル君だけ来ると思っていましたが、まさかレイス王女を連れてくるとは誤算でした。」
首を傾げながら話すライトに対して《案内人》が回し蹴りをくりだすが、片手で防がれてしまう。ライトは気にせず語り続ける。
「セイル君。私は貴方に復讐するためにここまで準備してきたのです!!たかが荷物持ちの分際でギルドマスターである私をコケにしたあの日から!!」
セイルに高速の正拳突きを繰り出すライトにギリ反応した《案内人》がガードするが、後方に吹き飛ばされガードした左腕は反対方向に折れ曲がっていた。
無言で立ち上がるセイルは左腕に右手をかざすと、元の正常の状態に戻す。ライトは驚くことなく逆に感心していた。
「流石は《案内人》。私の進化した技能《閃光拳》に対応し、折れた腕を完治させる高難易度の治癒技能を使えるとは!?」
セイルが顔を上げた瞬間、ライトは後退りし始める。《案内人》使用時に見られる左目の発光がないにもかかわらず、身震いする程の殺気を放っていた。
「セイルおじさん……《案内人》が僕の力の全てではないよ?前にも話したけど、あくまで《案内人》は力の制御をしてもらっているんだ。何でだか分かるか?」
殺気を膨らませながら少しずつ歩みよるセイルに、ライトは膝が震えてその場にへたりこんだ。
そして思い出したのだ。セイルが《案内人》を使い始めたのは、復讐を誓った日の翌日からだということを……




