フェンリルトの惨状
約1ヶ月前 獣人の国・王都フェンリルト
「お、おい!大丈夫か!?」
「く、苦しい……」
「身体が動かねぇ……」
フェンリルトのあちこちで獣人達が倒れ始め、瞬く間にあらゆる機関が機能停止に追い込まれた。
獣人達はすぐさま病院に運ばれたが、原因不明の症状に医師達もなす術ない状態だった。
そんな中で唯一難を逃れたのはライトの声に耳を傾けた王族と一部の獣人以外の冒険者達だ。
ライトは事前にこうなる事を《直感》で感じとり獣人達に警告していたが、皆聞く耳もたず世迷い言と一蹴していたのだ。
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セイル達が《指定転移》で移動している頃、王城の一画でライトとフェンリルトの国王フェルト・リンネ・レクス(49)は、今後の話をしていた。
「ライトよ。そろそろ来るのだな。いやしかし、まさか普段食べている食材に毒が入っているとは……」
「はい。嗅覚に優れた我々ですら感じ取れず、《解析》ですら特定出来ない原因不明の毒です。ですがセイルが来れば大丈夫です。」
ライトとフェルトは昔馴染みの旧友であり、二人で競い会った仲である。そんなライトが自信たっぷりに話すセイルという少年が気になった。
「お前程の男が認める男か。我も会ってみたいものだ。確か4ヶ月前にグラスディアに現れた魔人を討伐した者が同じ名前だったな。その男か?」
「間違いないかと……噂をすれば来ましたよ国王。」
国王フェルトは窓越しに天から降り注ぐ流星が見える。そして代々獣人に伝わる伝説を思い出す。
【天高く舞い降りる流星落ちる時、我らは救済される。】