未来を見る者と直感を信じる者
第二章開幕です
セイルがグラスディアに着いた頃、元Sランクパーティー【ライトニングパープル】のリーダーであるエディは、最果ての島から陸地を目指して船で移動していた。
「セイルは大丈夫だろうか?《未来眼》で数日後に魔人が現れるのが見えたから、理由を付けて行かせたが心配だ……」
エディがセイルに運び屋としてグラスディアに行く様に自然に仕向けていた。そうしなければ確実にグラスディアは滅んでいただろう。
「セイル…いや、《案内人》が言っていたな『元栓を閉めても流れた水は止められない』」
ふと呟くエディは真っ青な空を眺めていた。
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セイルはいつも通り運び屋としての仕事をしつつ、《案内人》で同僚の技能講習の先生をして生計を立てていた。
魔人討伐の功績が認められ、運び屋セイルの名は瞬く間に世界各国に知れ渡り、他国からの依頼も少しずつだが増えてきたところだ。
そんなある日にセイルに1通の手紙が届いた。元【ライトニングパープル】のメンバーである獣人のライト(49)からだ。
彼はセイルから貰った転移結晶で魔王戦後に誰よりも早く帰還し、獣人の国フェンリルトの冒険者ギルドのマスターをやっている。
元々ギルドマスターだったが、エディの《未来眼》により一時的な加入したのだ。
セイルは手紙を開いて読んでみると、ぱっと見てはただの世間話だが、最後の一文に違和感を感じた。
「うん?赤い鳥が必要な案件がある。フェンリルトに来てくれかぁ……ライトおじさんが言うからには行かないとな。」
手紙を閉じると直ぐに準備に取り掛かる。赤い鳥とはリヴァの事で、恐らくだがフェンリルトで何か大きな事が起こりそうだ。
ライトは《直感》の技能を持っており、今まで外したことがない程の的中率を誇っている。そんな彼を知っているからこそ、事の重大性がよく解る。
あらかた準備を終えたセイルは、レイスに一声掛けるために王城へ向かった。