魂吸収ボックスと不死鳥
「ねぇセイル?その黒い《アイテムボックス》は何なの?絶対ヤバイやつでしょ?」
話題を逸らしたいレイスは、セイルが手にしている黒い《アイテムボックス》について聞いてみる。
既に《アイテムボックス》から小さい黒い手のような物が無数に蠢いていた。
『あぁこれは《魂吸収ボックス》って言うやつ。死後1日以内の魂を保管出来る《アイテムボックス》の1つらしいよ。一応《鑑定》で調べたんだけど、解析不可で能力の一部しか分からなかったんだよw』
笑いながら話すセイルに一気に顔色が悪くなるレイス。聞くんじゃなかったと膝から崩れ落ちて後悔した。
『まぁ1回試して確認したから大丈夫だよ。時間が勿体ないから始めようか!《魂吸収》開始!!』
セイルの合図を皮切りに一斉に無数の黒い手が飛び出し、目に見えない何かを掴んで《魂吸収ボックス》に取り込んでいく。
それを尻目にセイルは地面に半径10mの巨大な魔方陣を書き始める。魔方陣から離れるよう指示すると、突然赤く光り出した魔方陣から体長20m程の炎を纏う鳥が現れた。
「「我を呼ぶ者は誰ぞ?四大聖獣の1匹【不死鳥のリヴァ】を《召喚》する不届き者は?」」
明らかに怒っている様子の不死鳥の登場に、セイル以外の全員が青ざめた。四大聖獣と言えば神話に登場するレベルの存在であり、人前には滅多に現れないと言われている存在だ。
その聖獣の一匹が激怒して目の前に現れれば、ただですむ筈はない。
『そんなことするのは私だけだろリヴァ。この魂達に《蘇生》をかけてくれ。いつものあげるからさ』
気さくに話すセイルを見つめるリヴァは、嬉しそうに近付いてきた。
「「セイル!!貴方はほんとに私達を呼べるのね!会いたかったわ!!」」
セイルに頭を擦り付けるリヴァは、まるで飼い主に甘える鳥にしか見えない。セイルもよしよしと頭を撫でてあげている。
周りにいた人々は今行われている事態についていけず、ただセイルという男には決して逆らわないようにすると決めたのだった。