エンドレスワルツ
魔人と《案内人》が戦っている頃、レイスと騎士達は動かなくなった魔人を見つめていた。
急にレイスの手を離し立ち上がると、まるで時が止まったようにピクリとも動かない。
『間に合って良かった。レイスが時間を稼いでくれたからかな?』
聞き覚えがある声に視線を移すと、黒い《アイテムボックス》を持ったセイルがいた。
「セイル!?いつの間に帰ってきたのよ!?」
『あぁ…レイスが押し倒された辺りかな?まさか魔人の背後に《座標転移》するとは思わなかったよ』
《座標転移》は指定した人物・建物・地名など、使用者が指定した場所に転移する高難易度空間スキルの1つだ。セイルはレイスを指定して転移したため、偶然魔人の真後ろに転移したのだ。
「じゃあ魔人が動かなくなったのはセイルの力なの?全く動かないだけれど?」
『そうだよレイス。魔人にはとっておきの呪術スキルを使ったから、大丈夫だと思うよ。レイスがよく知っているやつだし。』
「私がよく知っている呪術スキルって……まさか!?」
レイスにはピンっときたスキルが1つあった。それはレイス自身が魔王に使われた呪いスキル。
『そう!最上位呪術《無限円舞曲》だよ。魔王と戦った時に覚えたスキルなんだよね!』
笑顔で話すセイルを見てレイスは、薄ら笑いをして現実逃避をしたのだった。