絶望の魔人
魔人との戦闘は一方的なものだった。魔人の攻撃を全ていなしてはカウンターを浴びせるセイルこと《案内人》。
魔人がどんなにパワーを上げてもいなされ、スピードを上げてもいなされカウンターされる現状に魔人は怒り狂う。
「貴様!ただの荷物持ちではないな!!何故その実力がありながら荷物持ちをしているのだ!」
『マスターがそれを望むからです。仮にマスターが力を使えば、魔王以上の脅威が世界に訪れると話されていました。』
淡々と喋る《案内人》は確実にダメージを与え続けながら話題を変えた。
『下郎はまだ気が付きませんか?貴方は意思と関係なく私を攻撃していることに……』
魔人は言われるまで気が付かなかった。身体が勝手に動いていることに。だが知った所でどうすることも出来ない。
(くそっ……どうなってるんだ!?身体が全くいうことを聞かねぇ。何故最初から気が付かなかったんだ……《空想世界》は上位精霊のみ覚えられる特殊結界スキルだ。しかも複数人で結界を張るタイプを1人でやってやがる。勝てるわけがねぇ)
魔人が絶望した事を察した《案内人》は更に絶望の底に叩き落とす。
『貴方が死ぬまでお相手しますので、たっぷり味わって下さいね下郎。死にそうになったら回復して痛めつけますので』
笑顔で話す《案内人》を見続けながら、魔人は永遠に終わらない処刑に身を委ねたのだった。