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最弱師匠と最強の弟子!  作者: 福田ひで
第一章 最弱師匠の誕生
12/17

その十一 反対

「なあ爺さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど………って何やってんだお前ら」


そこには爺さんを殴っている2人組の男が居た。


「お爺さん!お前らは!?」

「誰だてめぇら?」

「もしかしてここのジジイの弟子っすか?まだこんな老いぼれに弟子なんていたんすね」


そう言って爺さんを突き飛ばす。


「うぐっ!?」

「お爺さん!お前ら〜!!」


マオンが、叫びながら怒り任せの拳を2人組の男に向かって振り下ろす。


「おらよ!」

「ぐあ!?」


だが初戦は素人、簡単に返り討ちに合ってしまった。


「ふん!かかってきたわりには大したことねぇじゃねぇか」

「先輩、こいつさっき突っかかってきたガキじゃないっすか」

「く、くそぅ……」

「ん?ああ……さっきのガキか。お前懲りずにまた来たのか。元気なやつだなぁ」


するとマオンが男の足を掴む。


「あ?」

「これ以上、お爺さんをいじめるな!」

「うるっせぇんだよ!ガキが!」


するとマオンが腹を思いっきり蹴られ吹き飛ばされる。


「ぐはっ!?」

「おい、大丈夫か?えらくふっ飛ばされたけど」

「はい、大丈夫です……」


口ではそう言っているが、苦しそうに腹を押さえているところ大丈夫じゃなさそうだな。


「お前もコイツみたいに無駄な抵抗するか?」

「いや、痛いの嫌なんで」


すると男がニヤリと笑う。


「ふっ賢明な判断だな。それじゃあ後もうひとつお前らに言っておく。こいつの家はもうすぐ解体される。今の内にこんなジジイの弟子はやめておいた方がいいぞ」

「別に俺達は爺さんの弟子じゃねぇぞ」

「そうか。それならいいが。ここを取り壊して新しい弟子を育成する場所にするつもりだ。お前らもどうだ?」

「俺達は師匠なんで」

「そうか。なら、お前らには関係ない話だな。おい、ジジイ。明日またくるぜ」


そう言って爺さんを見下すような視線で見る。


「ジジイそれじゃあな。ちゃんと決めといてくださいっすね」


そう言って2人組はボロボロの家を出て行った。


「ぷはぁー!はあ……はあ……いやぁ、あいつら中々帰らんから死ぬかと思ったわい」


何故か分からないがあの2人組が来た時から息を止めていたみたいだ。


「それでどうすんだよ。明日、家解体されるらしいじゃねぇか。家探し手伝おうか」

「バカ言ってんじゃねぇよ。ここから出て行く気はねぇぞ」


そう言って爺さんはあぐらをかいたままその場に動こうとしない。


「でもお爺さんどんなに頑固にここに居ても、無理だと思いますよ」

「若造が何を言っておる。おめぇらには関係ないだろ。ほら、さっさと帰れ」


そう言って手であっちに行けと伝える。


「ちょっと何なんですか!僕達お爺さんの為に何かできることが無いか考えて――――」

「そうかそうだよな。俺達には関係ないよな。行こうぜ」


俺は爺さんに背を向け、出口に向かう。


「ちょ!和人さん!」

「ふっこれでいいんじゃ。これで」


―――――――――――――――――


「和人さん!いいんですか!?あのままにしておいて」

「何がだよ」


俺達は家を出て大通りを歩いていた。


「あのお爺さんのことですよ!僕達だって話を聞いてしまった矢先放っておけないでしょう」


俺はその場に止まりマオンの方を向く。


「じゃあ何か策あるのか?」

「え?そ、それは………」


だけどマオンはすぐに言葉を発せなかった。


「ほらな。何もねぇじゃねぇかよ。何も無いのにどうするとか言うんじゃねぇよ。そういう時は策を出した時に聞けよ」

「す、すいません。でも、やっぱり何とかしてあげたくて」


マオンは小さい声で俯きながらボソボソと喋る。

こいつ、何とかしてあげたいって言うわりには人任せなんだよな。


「分かったよ。1つだけ、提案がある」

「本当ですか!?それは一体」

「明日の早朝にあのボロ家に来てくれ」

「分かりました!待ってますね!」


そう言って力強く頷くとそのまま家へと帰って行った。


「はあ……あまり乗る気はしないけどやるしかないか」


―――――――――――――

朝1時30分


「うう……遅いな和人さん」


マオンがここに来てもう30分の時が経っていた。

まるでデートに待たされている彼氏の様にいつ来るかも分からない途方な時間がさらにマオンを苛立たせる。


「ん?あれってもしかして………」


そこには和人の姿ではなく大勢の人が重機などを引き連れやって来た。


「まじかよ。まさか和人さんより早くきちゃうなんて」


マオンは少しだけ悩んだ。

今の自分があの集団に立ち向かっても意味が無いんじゃないかと。

何も策のない自分が行ったところで何が出来るのかと。

頭ではそれを理解していた。

だが次第に近づいてくる集団に体が足が前に進んでしまっていた。


「先輩?何か家の前に誰かいないっすか?」

「ん?あいつは」


すると大勢の人が家の前で一斉に立ち止まる。


「よぉガキ。まだ居たのか」

「あんたらも本当に壊しに来たのか」

「見れば分かるだろ。そこをどけ、ケガするぞ。それとも昨日みたいに蹴られないと分からないのか?」


すると男が足を上げ蹴る姿勢に入る。


「昨日みたいな失態はしない。僕だって師匠目指す1人の魔法使いだ。ナメるなよ」


するとマオンの手から杖がいきなり現れる。

杖は魔法で好きな時に出したり出来るのだ。


「ふっ魔法を使う気か?お前に出来るのか」

「くっ!撃てないと思ってるのか!」

「ああ……お前は撃てない。気弱そうなお前には撃てない」

「くっ!」


手が震える。

頭では撃ってやろうと思っているが体は反対の行動しかしない。


「邪魔っすよ。どいてもらえないっすか」

「退くわけにはいかない!あの人が来るまでは」

「ん?もしかして昨日いたもうひとりの男を待ってるのか。残念だがあいつが来ることはないだろ。あの男はこの建物に何の興味を示さなかったからな。残念だがお前は騙されたんだよ」


その言葉にマオンは悔しそうに唇を噛む。

自分が言い返せないことの悔しさや無力さによる物だった。


「先輩そろそろ」

「ああそうだな。お前ら!始めろ」


すると先程から立ち止まっていた人達が一斉に動き出す。


「や、やめろ!この家を壊すな!」


だがそんな声も虚しく、その動きを止めず進む。

そして重機が家を壊そうとしたその時何処からか声がした。


「ちょっと待てー!!」

「っ!?」


その声の先には和人と1人の女の子が立っていた。



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