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射手座の箱舟  作者: トンブラー
奴隷解放編
57/72

和解への模索

 カリナの張った結界により隔絶された空間。その外側はまさしく世界の終末と化していた。

 落下した流星による衝撃は、大地を抉り、大気を焼き尽くし、深々と根を張る木々を軽々と薙ぎ倒していく。

 

  ――――――――――――ッッッ!!

 

 見ればわかる、触れなくても感じるこの世の地獄。それにも関わらず、結界の内側には音も振動も熱も、何一つ伝わってこない違和感により、グスタフは吐き気を催してきた。

 まるで夢の世界である。。

 

(そうこれは夢の中なのだ……! そうでなければ……)

 

 思考が追い付かなくて目の前の光景の殆どが理解できていなかった。そして例え僅かながらに理解できた事があったとしても、すぐにそれを否定する。

 現実から逃避するしか、グスタフに残された手はないのだから。

 だが、現実(それ)はグスタフの都合など知った事ではない。

 衝撃の次は石の雨。

 巻き上げられた土砂と岩石が容赦なく地表に降り注ぐ。

 当たれば即死。掠っても致命傷。盾や防具など意味をなさず、紙のように(ひしゃ)げる。


 王国が亡ぶ瞬間――

 そんな考えが頭の中を巡っていた。

 

「う……うおおおぉぉぉおお――ッ!!」


 あまりの凄惨さに呆然自失となり、グスタフは顔を手で覆い地面に崩れ落ちた――

 

 

「ま、まぁ流石にここまではしませんけど……」

 

 不意に聞こえてきた声の主は、壊滅的に呑気だ。

 怒りから掴みかかろうと顔を向けると、そこにはグスタフがお気に入りの茶を勝手に啜るカリナが、バツが悪いといった表情でその光景を眺めていた。

 

「何をして……えっ……!?」

 

 何が起こったのか、グスタフは理解できていない。

 慌てて周囲を見渡すが、いつもと何ら変わらない天幕の中に戻っていた。

 文字通り、開いた口がふさがらない。ポカンと口を開けたままの表情で硬直していた。

 つい先程まで見た、あの地獄は一体何だったのか。

 

(夢……だったのか? それともこの小娘に幻惑魔法でも掛けられた?)

 

 グスタフはそう疑い始めていた。

 

「さっきの約束はちゃんと守って欲しいです。あと、まだ鼻血が……。コレを使ってください」

「あ、ああ……? やはり現実だったのか……?」

 

 結界に顔をぶつけた事で鼻血を出したことを思い出す。

 もう殆ど止まっていたが、この血が少なくとも幻惑魔法を掛けられたわけではないのだろう。

 手渡されたハンカチを見つめて、今見たことを認めざるを得なかった。


 そして同時に、この小娘の能力(ちから)も認める事となる。

 恐らくこの小娘を怒らせれば、この災厄は必ず起こるだろうと確信するのだった。

 

 

(う、上手く騙されてくれた……よね?)


 神妙な面持ちでいるグスタフを見て、カリナは内心ホッとしていた。

 実はグスタフはまだカリナが掛けた幻惑魔法の中にいる。

 加えて現実の彼は、今も机に突っ伏して眠っている最中だ。

 カリナは『威圧』での揺さぶりが効かないと悟った時、グスタフに幻惑魔法を掛け、実際に戦いになれば――という想定の幻覚を見せたのだ。

 勿論、本気でする気はない。仲間を護ると言っておきながら、大陸中を敵に回す覚悟はまだカリナにはないのだから。

 その為、幻覚で起こった事象を現実に見せかけるように、わざと夢と現実の区別がつかないように仕向けたである。

 

「どうかしたしましたか?」

「い、いえ何でもありませんっ! それより、ボクの力を以ってすれば、その気になればアルガット中の軍隊を相手にする事だってできます。

 でも、本当はそんなことしたくないし、出来れば魔族のボクでも静かに暮らしてたいと思ってます。

 もし、それを許さず、仲間を傷つけ、戦おうとするのなら……」

 

 グスタフはカリナから真剣な眼差し睨まれると、軽く身震いした。

 本来なら子供の夢見話として軽くあしらうところだ。だが、『威圧(おどし)』が効いているせいもあり、真剣にならざるを得なかった。

 

「そうか……。絶対強者である貴殿がそう告げるのであれば信じるしかあるまい。

 しかし我々はこの国と領土そして民を守る兵士だ。王国が貴殿達を賊として認識しているのなら、例え言葉を尽くそうが引くことは許されないのだ」

「個人的にはどう考えているのですか? 4000人程度の戦力ではまともに戦ってもボクは勝つ自信がありますが」

「私は……職務上、私情を挟むのも口にするのも許されない身だ」

 

 これもこれまでの脅迫がの効果か。上手く逃げられたが一瞬言葉を詰まらせた。兵士達の命を握られ、明らかに動揺しているのが分かる。

 

 今の状態なら、何かいい案があれば、上手く説得できるかもしれない。

 そう、仲間達も討伐軍も、誰も傷付けずにすむ案があれば――。

 

「そうですか、じゃあこれはボクの独り言になりますが、戦を避ける案……いえ、戦を終わらせる案を思いついたのですが――」

「……そうか、そんな大きな声で独り言とは、騒がしいことだな」

 

 暫くの間、お互いに聞こえる程に大きな呟き声が、天幕内で響き渡っていた。

 

 

*****

 

 

「なんで、そういう事になるんだよ……」

「王国全てが敵と言うわけじゃないですし、いい案だと思ったんですが……」

「いや、案自体に文句がある訳じゃないんだが」


 意気揚々と戻ってたカリナだったが、話を聞いたソウヒは呆れ顔になる。

 カリナが考えた案とは、即ち『一騎討ち』だ。

 双方とも要らぬ被害を出さずに戦を終わらせるには、どちらかが退く一方で、もう片方が追わなければいい。

 だが砦に住む解放団が退くことは許されないので、退くのは討伐軍の方だ。

 その為には討伐軍の将兵、全員の戦意を削ぐ必要がある。

 

 ならば大将同士が戦い勝負を決めれば、とカリナは考えた。

 そして当然、カリナが大将である。

 

 ソウヒは確かに戦うなとは言ったが、まさか戦う約束を取り付けくるとは考えてもみなかった。

 カリナ自身が戦う事にも不満がある。

 

「お前は元々、俺達の戦いに巻き込まれたんだ。そんな責任まで背負わなくていいんだぞ」

「大丈夫だよ。絶対、何があっても負けません!」

「そんな話はしてないだろ!」


 口ではそう言っても、本心はカリナの身を案じてならない。

 目がそう語っている事に気づいていないのはソウヒ自身だけだった。

 カリナですら、それが建前であることに気が付く。

 

「あはっ! お兄さん顔が真っ赤だよ!」

「うるせぇ! 自分でも分かってるよ!」


 猿の獣人(セリアンスロープ)だけに、ソウヒの感情は顔に出やすい。

 カリナも眷属達もソウヒの照れて怒る様が可笑しくて笑ってしまう。そうなるとソウヒの顔は更に真っ赤になっていった。

 

「それで、条件はなんだ?」

「……え? な、何のことでしょう?」

 

 ソウヒの次はカリナの番だった。

 まるで悪戯がばれた子供のように目を泳がせて顔が赤くなる。

 その様子を見て、ああやっぱりかとため息をついた。

 

「貴族が俺達を対等に一騎討ちに応じるわけないからな。どんな不利(・・)な条件だったんだ?」

「ええと、1対3で戦って、もし負ければ皆を軍に組み込むと……ああっお兄さん!?」 

 

 カリナの話が終わらないうちに、ソウヒは頭を抱えて蹲る――かと思いきや、すぐに立ち上がるとカリナの頭部を両手で掴んでゆすりだす。

 

「お前は…… お・ま・え・はっ! 一体何を考えてるんだッ!! 負けたら今までの事も全部水の泡だ! 親父殿がやってきたことも、イシュミルの支援も全部ッ! それに隊長クラスを3人相手に無事でいられるわけがないだろ!」

「あぅあぅあぅぅっ! だ、大丈夫だからっ! 多分、絶対!」

 

 ガエンの理想に共感してこれまでついてきたソウヒだ。奴隷解放団が事も成さずに解散するなど許せるはずがない。

 だが最後にカリナ身を案じてしまうのも今のソウヒだった。

 叱られた上に心配されるなど、父モタラからもされたことがない。ソウヒの感情が入り混じって胸の奥が痛かった。

 

 結局、見かねたロトスとリーシェが引きはがすまで頭を揺さぶられるになった――。

 

 

******

 

 

 討伐軍が陣を出る直前、グスタフは各将兵を集めて軍議を開いた。

 それは表向きは敵将兵――即ちカリナ達を生かして捕え、召し抱える為の通達。

 だが内心は戦の回避だ。

 王国から戦に勝つことを義務付けられ、司令官を任された身としては、無念としか言いようがないが相手が悪すぎる。

 下手をすれば王国そのものを危機に陥れる――いや滅亡すらしかねない。

 それならば、ここは屈辱に耐えて敗戦を受け入れ、この情報を持ち帰らなければならない。

 例え自らの地位が脅かされようとも。

 だが、あの小娘(カリナ)の存在を知る者は自分以外いない。

 説得は難しいだろう、とグスタフは内心頭を抱えていた。

 

 各部隊を纏める部下達は、前の戦いでもこの戦いでも手柄を立てておらず、この突入作戦に今度こそはと息巻いている。

 それだけに、『優秀だから捕まえて部下にする』と言う方針に反対の意を示した。

 

「盗賊風情を我が軍に取り入れるなど! 軍の風紀が乱れるというものですぞ!」

「そうです! 確かに戦奴兵は失われましたが、我らが第三軍団の精鋭をもってすれば!」

「勇将グスタフ様が、一体どうなされたのですかっ!」

 

 部下の言い分は尤もだ。自信でもあの小娘の能力(ちから)を目の当たりにしなければ、この様な作戦は執ったりはしない。

 だがその力の一端を見てしまった以上、この方法しか考えられなかった。

 それほどまでにカリナの力にあてられてしまったのだ。開けてはならない扉を開け放とうとしている、それだけは阻止しなければならない。――と。

 

「グスタフ様の気になさっているのは、先日の作戦を台無しにした敵将兵の事ですな」

 

 そう言葉を投げかけたのは、グスタフの隣に座る白髪で長く白い髭を蓄えた老人。

 老人が羽織っている黒地に蒼く光る刺繍が縫いこまれたローブは、アルガット王国の宮廷魔術師の証。

 

「はいコーレンス殿。実はそのものが昨夜、執務中に私のところへ来ておりまして――」

「……なんとっ!? 誠ですか!」

「うむむ……哨兵達は何をしていたか!」

 

 その言葉を聞いて、先程まで騒いでいた部下の表情が一変し、静まり返った。

 使者が来たというはともかく、司令官であるグスタフに誰知れず接触したというのは大問題だ。

 下手をすれば、そのまま暗殺されたかも知れないのだ。

 グスタフからその言葉を発したという事は、暗に警備や見張りの不備を指摘された事と等しい。

 その表情を見て、グスタフはニヤリと笑い掛けながら話を続ける。

 

「お前達は哨兵の怠慢を危惧したかもしれないが、私はその者がかなりの能力(ちから)を持っていると思っている」

「と……いいますと?」

「その者は言うには、私のいる天幕まで文字通り飛んできたそうだ。そして中に入ると邪魔が入らぬようにと結界を張ったのだ」

 グスタフはその場にいる全員に昨夜の状況を掻い摘んで話し始めた――

 

 

 全てを話し終えた後、将兵達の顔を見ると、何とも言えない表情を浮かべている。

 無理もない。こんなの将兵たちにとっては荒唐無稽で到底信じられる話ではない。

 本来、結界を張るには、かなり大がかりな施設や準備が必要となる。

 いきなり、その場で張るような代物ではなかった。

 そして、グスタフが見たという流星の尾(メテオフォール)

 それも幻覚を見せられたとしか思えなかった。

 

「我々はグスタフ様を信頼しております。ですが、流石にそれを信じろと言うのは……」

「そうですな。それこそ相手の術中に嵌り、薬か幻覚を見せられたしか思えませぬ」

 

 部下たちの反応を見ながら、やはりか、と思わざるを得なかった。

 その時――

 

「その者の名、確かに『カリナ』と申したのですな?」

 

 グスタフの話を静かに聞いていた老人――コーレンスが尋ねてきた。

 

「はい。そう申しておりました。そして砦に棲む魔物の主であると――」

「ふむ……。グスタフ殿の話は実際に起こったのかもしれんぞ?」

 

 コーレンスはアルガットきっての宮廷魔術師。

 実力も実績も十分なだけに、その発言は部下達の興味を引くことになる。

 

「コーレンス様、どういう事でしょうか? 如何に魔力に富んだ魔族とは言え、そう簡単に結界や戦略魔法を操るなど――」

「仮に――あくまで仮にですが、もしグスタフ様が幻覚を見せられたのではないとすれば、その魔物はA級指定魔獣(ディザスター)を軽く超えているという事になります」

 

 そのような魔物がいる筈がないというのが部下達の主張だった。

 

「その『カリナ』という娘が儂の知っている者と同一ならば、その者はエスワルグのグーデリオ魔法学院で麒麟児だよ。

 入学して1年も経たずに精霊魔法を使いこなし、10歳には一通りの魔法の習得。最短記録10年を大きく塗り替えて3年という早さで卒業したそうな」

「なんと、グーデリオ魔法学院ですかっ!?」

 

 エスワルグは大陸北西部――アルガットが大陸南東部の国に対して正反対の場所に位置する大国。

 大陸中随一の魔法技術をもち、研究も進んでいる国だ。

 身近なところでは生活魔法、軍用に至っては戦略魔法と、数多くの魔法を生み出していた。

 

「昨日儂らが見た精霊王だが。あのような御姿など初めて見たわ。あれほどの魔力を持つとすれば、グスタフ殿の話にも説明が付く」

 

 そう、コーレンスは思い出していた。

 あの時、砦に顕現した灼熱の精霊王は、本来なら煌々と燃え盛る赤一色であるはず。それが赤黒く変色していたのだ。

 魔力が足りないのなら精霊が顕現する事はない。

 逆に、精霊に魔力を過剰に譲渡すると、術者の魔力が漏れて表面に現れる。

 魔力氾濫状態オーバーフローという現象だ。

 

 この状態は、言わば加圧された蒸気が一気に噴き出す寸前のようなもの。

 爆発的な威力を生む代わりに非常に不安定で、下手をすれば術者を巻き込み自爆してしまう危険があった。

 

 精霊王を魔力氾濫状態(オーバーフロー)にするなど、尋常な魔力ではない――と言うよりも事実上不可能だ。

 現在において人が扱える最大の魔法が戦略魔法で、それを呼び出す際の精霊が精霊王なのだから。

 

 

 魔法に疎い将兵達だったが、グーデリオ魔法学院の存在とその功績は知っている。

 当初はグスタフの話に懐疑的だった将兵達だったが、そこの出身の可能性が高いという事と、コーレンスが告げた事実が信憑性を増していた。

 

「話を戻そう。私が会った『カリナ』と名乗る娘が、コーレンス殿と同じ者かは分からん。

 だが、昨日の戦いで我々が見た精霊王は紛れもなく事実。

 それを呼び出せるほどの程の魔術師を盗賊の一味として埋もれさせるほど無駄なことはない」

「確かに、その通りですな」

「なるほど……それほどの使い手が我が軍直属となれば頼もしいことこの上ない。やはり我々の考えなどグスタフ様には足元にも及びませんでしたな」

 

 コーレンスの後押しもあり、部下達の間でも話が纏まってきたようだ。

 

「相手からの要求は一つ。我々の即時撤収だ。『無用な戦い避け、さっさと引き上げろ』とな」

「それは何とも……可愛らしい要求ですなっ! ガハハハッ!」 

 

 部下の一人が発した冗談によって辺りからも笑い声に包まれたが、グスタフは苦笑する。

 

(それは違うぞ……。あの小娘は『死にたくないならさっさと帰れ』と言っているのだ)

 

 恐らく実際に見てみないと実感できないのだろう。

 皆、自分達で発した言葉を忘れている。

 あの魔物はA級指定魔獣(ディザスター)を超える魔物なのだと。

 

 確かに見た目は可愛らしい。気を抜いたら年甲斐もなく見惚れてしまう程に。

 少し話せば性格も伺える。子供らしい短絡的な考え方はではあったが、盗賊の様な屈折した性格ではなかった。

 その魔物は、出来れば静かに暮らしたいという。

 何とも慎ましやかな魔物ではないか。

 

 だが逆に言えば、我々にも手におえない程に強力な兵器を持った子供が、我々と対峙しているという事実。

 もし気が変われば、アルガットを滅亡に追いやる事すら可能な力。

 笑えない冗談だった。

 

 グスタフはそんな考えを頭の隅に追いやり、あくまで司令官としての責務を果たす。

 

「確かにそうだな。そして要求を受け入れてやる代わりに私からも条件を3つ程出した。1つ目は奴らの望み通り『全面交戦ではなく一騎討ちとする事』だ」

「なるほど。それならば此方も損害出さずに済みますな」

 

 望んでいるのは私の方だが――と心の内で告げるが、誰もその真意を察する者はいない。

 

「そういう事だ。そして2つ目は『我らが勝てば盗賊共は解散。選抜された者は配下として加わる事』だ」

「目当ては、そのカリナという娘ですな? 儂も直に会ってみたいですわぃ」

 

 カリナの話が持ち上がって以降、コーレンスはそれに興味津々だ。

 

「恐らく、次の条件によってそれは適う事でしょう」

「おおっ、それは楽しみですわぃ」


 実のところ、この条件はグスタフの望みだった。

 もし万が一勝てば、本当にあの娘を配下に加えることが出来る。

 そうなれば、隣国フォルンの魔法軍隊にすら後れを取ることもないだろう。

 と、グスタフは密かに企んでいた。

 

「そして3つ目は『一騎打ちには我らの大将を3人同時に対峙してもらう事』だ。こちらから3人腕の立つ者を用意する事になる」

「え……? それはつまり――」

「そうだ。敵の大将はカリナという娘だ」

 

 その言葉で全員が黙り込んだ。

 優秀な敵将を捕えるとなれば、それなりに手柄にもなる筈。

 しかし誰からも声が上がらない。

 

「どうした? まさか小娘と聞いて気が萎えたか? それともまさか臆したのか?」

「い、いえ……、しかし……」

 

 確かに相手は盗賊とは言え、年端もいかない小娘と聞いていれば、誰も戦いたいとは思わない。

 只一人、コーレンスだけがやる気を出していたが――。

 

「ならばその役、俺が引き受けようじゃないか」

 

 軍議を後ろから眺めていた人物が声を上げた――。


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