表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/58

第九話 地獄

 ところで。

 これでも俺はまだ高校生。しっかり学校に行かなければならない。

 だが、最近はと言うかダークサイド日影を見てからは中抜けが目立つようになった。

「何か忘れている気がする…」

 

「ねぇ太陽、そろそろ中間テストだけれど…勉強してる?」

 …そうだった。そういえばそういうものもあった。

 そういえば、ダークサイド日影と出会ってから、生活が一変した気がする。

 友達が遠慮して体育以外はあまり会話しに来てくれなくなった。勿論、どちらかが用事で一緒に帰れなかったりすると、友達と一緒に帰路につく、と言うこともあるが…。まぁ、基本単独行動することがないので、そんなの俺が呼び出しを食らったり、追試になったりと言うくらいしかない。

 …頭が良くて何でもできる、外見も良い、仲間も多い、才色兼備、八方美人である日影は羨ましい。というかずるい。寝て、起きたら体が入れ替わっていたりしてくれないだろうか…。

 また、親が死んだ。こんなことになるとは、想像もできなかった。

 住む家が変わった。生まれてから、引っ越しをしたことはなかった。しかし、親が死んでからは完全に先生の家に住んでいる状態だ。

 本当に色々変わった。もっと探せばまだまだ沢山出てくることだろう。

「全然やってねぇな…」

「…何、この間は…」

 どうやら、1分くらい黙って考え込んでいたらしい。

「じゃ、頑張って」

 颯爽と去っていく。

「待って……。教えてくれよ~…」

 どうやら、他人に教えるというのが苦手なようだ。


 今日は中抜けもなく、帰路につくことができた。尚、日影付きである。

「で、どうすれば点とれるようになるんだ…?」

「ちゃんと睡眠不足にならないように睡眠をとる。それだけ」

「いや、それだけなら俺だって…」

「授業中に寝るようじゃ認められない」

 …何でだYO!だってつまらないじゃない。みんななら分かってくれる…よね。適当過ぎて辛いです…。

「なら勉強法だけでも…」

「私の勉強法は企業秘密、特許技術だから教えない」

「…はあ…そんなに教えたくないのかよ…」

 また適当なことを…意味は違うが。

「それは置いといて、こんな時期に仕事とか…ないよな?」

「私のところには入ってきていない。ただ、いつ入るかは分からない。もしかしたら、テストの時に入ってきて、0点とかも」

「それは勘弁してくれ。まぁ、被害が大きくなるのは日影だがな」

「そうだった…太陽をいじるのに夢中だった」

「何だ、俺は遊ばれてんのか」

 女に遊ばれるのは何か癪だな…まぁ、こんな馬鹿で変態である俺に構ってくれるだけまだマシか。普通の女、または波長の合わない女なら俺はすぐ捨てられることだろう。…童貞も持ち去らずに。

 などと考えていると、案の定横から禍々しい妖気とともに冷たい視線が送られる。下ネタを受け付けない体質らしい。…だとしたら、俺とは波長があるはずがないと思ったりするのだが、気にしない。

「…本当に教えてくれないのか…」

「教えるの、下手だから、無理」

「それ先に言おうか!」

 やはりそうだった。

「…人に教えられないことは、恥でも何でもないぞ。逃げることよりはな」

「テストから逃げようとするのは止めてね」

「折角フォローしてやろうと思ったのに、それは仕打ちが酷くないですかね?」

「太陽なら大丈夫、ついてこれる」

 …何だ、スパルタ教育でもやろうってか?

 ………

 ……

 …

 上等だぜ!男が女に負けてなるものか!…ところで、これって古い考えなの?周りから変な目で見られているのだが…。


 何とか家に帰って来れた。授業は疲れる、視線に疲れる、いじりに疲れる。きつい、気が遠くなる、危険。もはや3Kである。

「はあ、全然集中力が続かん…」

「人間は集中力が長く続かないものなの。1時間に1回、小休憩を取りながらやるとずっと続けて勉強をするより効果的」

「そういうこと分かるなら言ってくれればいいのに…」

「流石に知ってるかと…クスクス」

「笑いながら言うなよ…」

 それにその笑い方不吉である。よく、人を馬鹿にしたりするときに使われるものではないか!

 まぁ、その教えのおかげで勉強は今までにないほど捗ったからいいが…。

「あぁ~今日も大変だ~」

 呑気に帰ってきたのは諸悪の根源、テストを作っている邪悪なる教育従事者である。

「そこの先生、勉強教えて」

「それくらい自分でやりなさいよ…。こっちは色々仕事が…」

「先生は俺が追試になってもいいと言うのか…」

「当たり前さ。正直私の評判が下がらなければどうなったっていいさ」

「うわぁ…」

 酷い言い方、酷い仕打ちである。日影以上の悪魔がここにいた。

 こいつらは俺に「死ね」とでも言いたいのか…それほどの仕打ちである。

 日影のはまだ「いじり」で通るかもしれないが、先生のは一歩間違えれば「いじめ」レベルである。

 実は語っていないだけで二人には沢山遊ばれてきた。

 「いじり」と「いじめ」は僅か1字しか違いがない。つまり、いじりといじめは紙一重。こいつらを含めてみんなに知ってもらいたいものである。

 まぁ、一人寂しいよりはずっといい気もする。ただアニメばかり見るのでは完全に根暗認定されてしまいそうだ。

「おーい飯だぞー」

 飯は美味いから許す。料理教えてほしいくらいだ。

 …何だかんだで許すから付け上がるのかもしれない。


 夜。やはり勉強は繰り返しやって覚えることに意義がある。そう思っているが…。

 しかし、やはり社会出て働き始めると休み時間、日数は確実に減る。

 今、やりたいことをやらずして、いつやるというのだ。

 …ということで、ゲームをしていた。

「格闘ゲームはやっぱりこれに限るわ…」

「で、何で日影、お前がいるんだよ…」

「休憩は大事。勉強は必要な分だけやればいい。限られた自由な時間、自分のしたいことをして有意義な時間を過ごしたいから」

 …変な所で意見が合い、波長が合う。これだからこんなになってしまうのか。

 …すると突然、謎の感覚に襲われる。…これは、久しぶりだ…。


『任務を与える。この地図が示している【アリアハン】という組織を滅亡させよ。以上』

「…承知しました」


 アリアハン…?これ、何かで聞いたことある地名…。まぁ、そんなことは置いておこう。




 また、任務が入ってしまった。そして、長期戦が予想される。

 何とかしてテストまでに間に合わせないと、組織の人間としてはともかく、高校生としては大変なことになってしまう。

 何故こんな面倒な、そして本当に平和の為なのか分からない怪しい動きが続くのか。

 謎と面倒臭いという思いが溢れる。

 しかし、今はやるしかない。これが良い行為でも、悪い行為でも…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ