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第四十四話 1年終わり、次の1年へ…。

 遂に記念すべき修了式がやってきた。今年度あった様々な事が思い出される。

 思い出としては、正直クソみたいなものばかりだが…。命が何度も脅かされ、臨死体験もした。

 また、特訓のせいでとても忙しい毎日を過ごした。家での勉強時間が皆無になる程修行に励んだ。ちょっとずつその効果が見えてきてはいるが、まだ戦いにおいて足を引っ張っている状況が続いている。

 多くの時間を特訓に費やしているため、自由な時間は本当に僅かなものである。夜遅くになってから宿題をしたり、アニメを観たり…と色々して、結果として寝不足が慢性化してしまった。

 授業中に爆睡したり、組織のせいで増えた様々な心配などを考えることで、授業への参加が疎かになった。勉強に励むことで好成績を維持していた俺は、勉強をしなくなったことで成績は急降下した。元々成績優秀者だった俺が、正反対の位置についた。因みに、日影はどういう訳か成績が急上昇し、俺とは正反対。どうしてこうなった。

 まぁ、こんなことばかり考えていても仕方がない。これらの経験も良い人生経験だ…と思うことにする。

「高校に入った当初は平凡すぎる人生とおさらばしたいと思っていて、それが実現したわけだが…。ここまでぶっ飛んだ1年になるとは思わなかったなぁ…」

「それでも、良かったじゃない。色々な事を経験できた訳で」

「何でこんな現実離れした経験しなきゃならないんだよ…」

 清々しい笑顔で、周囲の非リア充の者どもに羨ましがられながら会話する。こんな話が出来る良い相手がいる。それに関しては良いことだ。

「まぁ、これで、良かったのかもしれないな…。日影と言う、良い存在と出会えたこと。そして、…このような関係性を築くことが出来たこと…。高校に入るときは、彼女をつくることは、3年の間に1回でも、短い間でもできれば良いなと思っていた。この点には感謝しかないな」

 太陽の不意打ちに俯く日影。この会話を見聞きして、大きな期待に溢れる級友達。…何だこの状況は?

「…なぁ、相野里…。俺、何か変な事でも言ったか?」

「…変な事…ではないな。分かりやすく言えば、里塚さんに……。これ以上は言わないが、ラブコメで言うと、主人公にメインヒロインが惚れるような事を言ったんだよ…」

 そう言われて、何を言ったか思い出して整理してみる。…確かにそうだ。俺が日影に言われれば、即効日影に愛の抱擁をし、キスをし、そして、下心満載の猥褻行為に走ることだろう。

「まさか、太陽からそんなこと…」

 未だに高揚が収まらない。自分から言う分にはまだ良いのだが、不意に言われると、とてもくるものがある。

「さて、予鈴もなったことだし始めるぞー…。何だこの酷いラブコメ臭は…」

 担任も驚くほどのラブコメ臭。きっとこれは…。


 恍惚の時間を過ごした後は修了式の為体育館へ集合。残念なことにその間は日影との会話は…。出来る状況だった。

 隣同士に座る。何て運命的な事だろう。

「なぁ日影…。今日は何もないよな?流石に修了式までぶち壊しには来ないだろう?」

「私には分からないわ…。何もない事を願いましょう」

 そう。何かあっては困るのだ。特に、皆が見ているような状況で戦闘など出来ない。皆は俺達がそのような事をしているということを知らないし、他のメンバーに大きく劣る俺は完全に恥さらしになる。sんなことは避けたい。

「明日から春休みな訳だが…。久々に二人で何かしたいね」

「そうね…。取り敢えず遊園地でジェットコースターかな」

 清々しい笑顔で恐ろしいことを言う日影。前回ジェットコースターに乗りまくった時の反応を見て、それを現在も覚えていて発している言葉であれば、鬼畜だ。

「流石にきついな…前に沢山乗ったというのに…」

「もー…根性なしだなぁ。これだから戦闘で…」

 非常にに心に刺さる言葉を飛ばしてくる。このような事を言わせるというのは、男のプライドが許さない…。

「…分かったよ。やるよ。やればいいんだろ!」

 不貞腐れたように発する俺を見て、更に口撃を続ける。

「嫌だったら無理しなくてもいいからね~」

「嫌じゃない…。どんとこい!」

 心の中ではもう背を向ける直前だ。まぁ、例え後ろを向いて走ったとしても『しかしまわりこまれてしまった』で終わるだろうけれども。

「…では、これで修了式を終了します。………」

「早いなぁ…楽しい時間はどうしてこうも過ぎるのが早いんだ…?」

「そうね…。でも、まだまだいっぱい時間はあるさ…」

 小さく鼻歌を歌いながら、上機嫌で二人で教室へ戻るのだった。


「それでは、お待ちかねの通知表配るぞ~」

 地獄の時間の開始。確実に説教の時間となるだろう。

「えー次は、里塚ー」

 上機嫌で日影は俺の所へ直行し自慢へ。

「どうおこれ~。オール5よ…。太陽の楽しみに待ってるね」

「嫌味か!」

 そう言わざるを得ない程満面の笑みで、完全に馬鹿にする体制だった。ギャフンと言わせて…

「最後、米里ー」

 俺は、自分の席に戻るまで1分半かかった。大半は説教だった。

 席替えで日影と咳が離れたのが幸いだった。隣だったら、もう既に馬鹿にされることだろう。

 ほぼ全て3がつけられた。思ったよりは悪くなかったが、それでも将来が危ぶまれる成績だ。

「じゃ、皆の衆、さようなら!」

 やっと終わった。この1年が。

 長いようで短い。

 楽しくも辛い。

 恐ろしい経験満載の。

 そして、日影と、先生と過ごした。

 良いことも悪いことも沢山あった、最高に残念な。

 来年度はどんな年になるのだろう。

 そして、その前の春休み。充実した生活がしたいなぁ…。

「じゃ、帰るか…」

「そうね…。そうだ、偶には…手でも繋ごうか…」




 楽しい春休み@始まらない。1日中特訓という地獄が始まる。

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