第四十話 つまらない特訓
死ぬよりは生きている方がマシかもしれないが、生き地獄を永遠と生き抜くよりは死んだ方が楽かもしれない。まあ、まだまだ観ていないアニメも沢山あるし、日影の存在もあるし、まだ死ぬわけにはいかないから死は選ばないが。
…え?なんで日影よりもアニメが先に出たのかって?……気にしないでよ、絶対にね(脂汗)。
ということで。意味があるのか分からない特訓を始めることとなった。もう、あんな顔にしてしまうようなことが無いように。
特訓自体は前からずっとやっていたが、今では、最初の方は楽しんでやっているような感じだと思える。
そして今は、ボケをかましている暇も突っ込みを入れる暇もない。日影も、先生も、真剣で話す暇がないためだ。俺との会話どころか、二人での会話も数少ない。その上聞こえない。残念だなぁ。
「きつくても、これは太陽が死なない為のものなんだから、仕方ないわ」
何度日影に話しかけても、このような事を言われてそれ以降は無視。先生も同じだ。
ビシバシ鞭で引っ叩いた後は、勿論褒美が…ない。その上、朝食を摂る時間が無くなり、食事と登校を同時に行うことになるいう地獄。飴と鞭ならぬ鞭と鞭である。
…鞭と鞭よりはムチムチボディの女の子の方が欲しいですねぇ…。勿論、ただのデブはお断りヨッ!
「…おい、米里!…まったく…お前は、いつにも増してボケっとしていることが増えたな…。こりゃいかん」
「ん?そうか、授業中だったぜ」
結果、各教科担任とのこのようなやり取りが増えた。先生二人を除く、
昼休み。日影との会話、その他級友との会話が増えることとなった。
馬鹿みたいに話して、騒いで…。学校は本当に楽しいところだ。数々の仲間に囲まれ、日影と言う彼女のような者もいる。中学の頃はボッチで半引きこもり状態だった俺が、高校に入ってからリア充という状態を満喫する。素晴らしい逆転劇だ…。そんな恍惚の時間も予鈴と共に終わりを迎える。
また授業、そして特訓だ。
日影との会話は殆どが学校、若しくは登下校時。先生との会話はほぼ皆無と言っていいほど特訓をすることとなった。
夕食の時間も、特訓の内であると言わんばかりの厳しさ。
自室に戻る時間などほぼなく、自室は言わば寝室状態。出来ることと言えば寝ることと、寝る直前に遊ぶこと、そして、日影と楽しい時間を過ごすこと。しかし、特訓首謀者の一人であるが故に、会話できる時間は限られる。
「日影…いつまでこの体制を続けるんだ…?」
「先生に訊いて…。私は、首謀者ではなく、あくまでも実行役」
「ぶっちゃけどうだ?」
「…偶にはどこか遊びに行きたいわね…。正直、この体制はきついわ」
結果として、こんな体制は僅か3日で崩壊することとなった。いよっ、三日坊主…坊主?まぁいいや。
ただ、結果は俺が生死を彷徨ったあの戦闘時のような特訓方法に戻っただけ。十分きつい。
「それにしても…。もうすぐ高校2年になるのか…早いものだな」
「そうね…。もうすぐ、後輩という存在が…。いい後輩が欲しいわね」
「1年色々あったな。疲れを癒すためにどこか行くか」
「「えっ」」
唐突な先生のその発言から、俺たちの旅行が始まることに決まった。
朝っぱらから楽しく雑談が出来る休日。久しぶりだ。目的地まで楽しい楽しいお話をしようと思う。
「最近、忙しくて真面にこうして話しできてなかったなぁ」
「そうね…。何を話せばいいのかもわからなくなるほどだわ」
「俺はそこまでじゃないよ…。だって、日影で…」
「毎日妄想してたんだから」
「…!!???」
悲報。俺氏、口が滑る。
「………」
歯を食いしばり、ぶっ飛ばされることに耐える体制を整える。
しかし、日影からの攻撃は無し。
「…じゃあさ、夜…。遊ぼう…?」
「お、おう!もろちん!」
少しして、先生が「ブッ」と破裂音を上げる。
「今日は一段と下ネタが多いねぇ…色々溜まっていたのか…。じゃあ、それを頑張って放出するんだぞ」
「先生がそんなことを言うとは」
「先生も大分溜まっていそうね」
何て残念な先生だろう…。いや、面白くていいか。
「授業はちゃんと受けないと、進級できないよ…」
「何故先生がそれを…!?…普通に他の先生から聞くか」
「今日は、勉強しながらに、しようか」
「えぇ…嫌だゾ」
「駄目です」
「あああああぁぁぁぁぁあぁぁ…」
大声を出して落胆した。
そして着いた先は、以前同様、凄い自然を思い切り堪能できる良い場所だ。
でも、以前は戦闘をした。俺はそんなことにならないように願う。
しかし、それは無駄だった。