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第十二話 天水様?

ただ、愕然として見ていることしか出来なかった。あまりの早業に、何も対処など出来なかったのだ。

「どうした!?……成程これはマズいな…」

「………」

 その男は、先生を見た瞬間何かを言ったようだ。だが、俺には聞くのは困難だった。

「何だったんだ…」


 朝。休日と言うこともあり、当然ながら日影を助けに向かうことが決まった。

 そしていつもの組織へ。この中のどこかにいるのだろうか…。

「太陽はちょっと待っていてくれたまえ」

 俺は入れてくれないのか。だったら連れてくるなよ!俺は勉強しなきゃやばいんだ!

 それは兎も角、やはり大切な日影を訳の分からない野郎に強制連行されて黙っていられるはずなどない。

 今、どうなっているかは分からない。既に殺されているかもしれない。また、どこかの山林や海などに捨てられている可能性もある。

 もしかしたら女性として最大限の辱めを受け、非情な扱い……。おいこの野郎!俺も混ぜ……。

 こんな時にもこういうことを想像してしまう俺やばい。誰か助けてくれ。誰か俺のオナ〇ールに…

「奴の居場所がわかったぞ」

「どこだろう…」

「…学校だ。私たちのな」


 …ということで、学校へと歩いていく。

 こんな先生と会話してもあまり楽しくないことだろう。二人きりなら尚更だ。また勉強が如何こう言われるに違いない。

 ならば何か考えよう!と思ってもさっきの妄想が頭から離れない。…せっっっっっっかく気休めに

「妄想していたのに!最低教師だ!」

「そんなことをしていたのか…。助ける気あるのか?」

「何ィ!口に出していただとぅ…」

「一番口に出してはいけない場所だけ口に出てしまう、太陽の悪い癖だぞ。気をつけな」

「すみません許してください!何でもしますから!」

「え?今何でもするって言ったよね?」

 …『あれをしろ』とかは言われなかったが、今後が怖すぎるぜ。

 どうでもいいことだが、女性教師と二人で学校へ行くなんて超レアな気がする。AVか何かかよ。そういう展開待ってます!!

 また到着するまで馬鹿なことをやっていた気がする。まぁ、これ以外やることなどないし、仕方な…くないか。

「何も変わった感じはしないな…」

「流石に校舎を要塞化するようなことはしなかったか」

「随分分かりやすい要塞だな」

 そんな学校の中も…全く変わらない。こんなどうやって潜伏しているというのかさっぱり分からない。

 今日は休日とは言っても、部活動などは相変わらずやっている訳だし、教職員だって顧問だったりその他必要な仕事をしに来ている訳である。見つかったりなどしたらそこで終了となるはずだというのに。

 先生が突き止めた場所は…地域行事に出席している今日は使われていない音楽室だった。

「何でこの学校のことこんなにしているんだよこいつ…」

「生徒だったんじゃない?私は知らんが」

「先生が情報流したりは」

「どうしてそうなる…」

「中に入れるし、中で誰かと話していたし、組織の中では顔が広いのかな…」

「…そうだね。でもこれ以上私が言ったらそれを訊いた太陽は組織から狙われることになる」

「…」

 そこから先は何も言わなかった。

 先生が何か言った訳ではなさそうだ。

 ただ、先生が組織の中でもそれなりに大きいことは分かった。きっと上層部と何かしらの係わりを持っていたのだろう。まさか先生が上層武のオ●ペットに…?そんなの信じないぜ!!!!

「そこにいるのだろう天水様と若造よ」

 こんな呼び方をされる辺り上層部と繋がっていたことは間違いなさそうだ。

 どれだけ上り詰めていたのか…?今はどうなのか…凄く気になる。

「若造よ。お前さんは俺には用がないのか?」

「いや、あるわ!」

 ないなら来る訳がないというのに…。これだから老害は!


「里塚日影ちゃんを返してくれるかな?」

「無理です。貴女と言うお方であろうと、組織転覆を模索していた者を野晒しにするのであれば身柄はお渡しでいません」

「…残念だ。白夜も随分飼いならされたものだな」

 勝手に話が進んでいく。いつもなら物言いをつけたいところだが、今回ばかりは驚くことが多すぎてそれどころではない。

 先生が組織の中でも地位が高かった(若しくは今も高い)こと。

 先生がこの野郎を知っていること。普通に『白夜」と名前で呼んでいる。

 そして、どこを見渡しても日影がいないということ。

「…日影はどこだ…」

「あぁ、その子なら殺しておきましたよ」

 突然の宣言に呆然と立ち尽くす。

「ほらここに……いない!?」

 杞憂だったみたいだ。

「クソっ!どこに行きやがった!?ここは3階だし窓からは逃げられないはず…」

 ―刹那、白夜とやらに一筋の光線が走りだす。

「あんな生温いので死ぬとでも思ったか…」

 日影怖い。目が逝ってる。冷たい視線どころじゃない…。もう凍てつくようなその視線に俺も先生も流石に恐怖を覚えていた。

「…怖かった……痛かった……」

 涙ながらに語った言葉は、か弱い女子そのもの。やっぱり女ってずるい。こうして男を…。

 それは兎も角、やはり本当に怖かったのだろう…。腰が抜けているのか立ち上がれないのか、俺に抱き着くもそこは下半身。と言うかほぼ股間辺りに顔があっていやらしいことを想像してしまいそうになる。

「日影、その辺にしておけ。太陽は何をしでかすか分からない」

「酷いムードブレイカーだ!!!!」

「で、奴は死んだのか?」

「いや、息はあるようだな…。取り敢えず組織まで運ぶかな」


 組織の前に着くなりまた俺(今回は日影もだが)を放置して中へ。

 長い談笑?の末出てくると、とても清々しい顔をしている。

「何ですかね先生その顔は…。流石に引きますよ」

「丁寧語を使うとは、本気で引いているな太陽。…引かないでくれたまえ」

「先生…何かあったの?」

「よく訊いてくれた日影!」

「聞いて驚け!お前らは昇格することになった!仕事が増えるぞ!」

「……(嫌そうな顔)」

「……(嫌そうな顔)」

「二人でそんな顔すんなし…」

 正直任務とかしたくない。俺は高校生。勉強をするために高校に行っているといるというのに、肝心の勉強を疎かにはしたくない。任務はそれに反する。

 そして何より、危険な組織かもしれない訳だし、その任務がただの一般人への無差別殺人だとすればとても心が痛くなる。

「それにしても…何で今なの…?」

「私が交渉してきたのさ」

「直談判するほどの地位なのか先生…」

「さぁ、それはどうだろうな」

「濁さないでくれよ」


 

 とても収穫が大きい1日だった。まさか先生が…上層部に関係するとは。

 もっと先生について知らなければいけないかもしれない。

 


 そうすれば、いつか組織の全貌を知れるかもしれない。

 もし危険な組織だったなら…。全力で叩き潰さなければいけないと思う。

 規模にもよるが、世界破滅レベルであれば勉強どころではない。



 今後は日影だけでなく先生もよく見ていかないとな…。

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