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第十話 善か悪か

 そして。俺たちはアリアハンなる組織へ向かう。

 任務に関しては、「入ってきたら即行動」と言うよりは、「タイミングを見計らって行動」と言う感じなので、一応今回も休日を使って行動する。

 ただ、テストが近づいている今、休日は非常に大切な勉強時間だ。それを捨ててこのような善悪の分からない行為をするのに使うのは不本意だ…。

 などと考えていると、鈍い音がし、それに続いて痛みが…

「…って何するんだよ日影」

「また変なこと考えてた」

「違うぞ?テストが迫ってるから早く終わらせて勉強したいなー…と…ぁっ」

 右手が握られる。酷い冤罪だ!

「待って!話を聴…ぎゃああああああああああああああああ」

 俺は今回の相手、アリアハンなる組織のメンバーじゃないのに何で攻撃されるんや…。何でや!

「青春だねぇ。羨ましいよ」

「先生まで俺を…」

「過去のことを懐かしんでいるだけさ」

 薄ら笑いでそう語る。絶対俺を弄んでるだろこいつら!

「…ここかな?」

 などと馬鹿なことをやっているうちにどうやら辿り着いた様子。

 外見は宮殿のような感じで、かなりの大きさだ。前行った所よりも大きいかもしれない。

 前行った所と違うところと言えば、綺麗な状態であることとかだろうか。無人になったのが最近なのか、それともアリアハンなる組織の人間がやっているのか…。

「…何か前よりも大変そうな気がする」

「そうね…。外見的には生活感があるし」

「まぁ、いいだろう。組織からの助けも直に来るさ。気楽にいこうじゃないか諸君!」

「…こんな大人と一緒じゃ逆に心配になる」

「…こんな大人と一緒じゃ逆に心配になる」

「否定された…しかも両方に…」

 でも、最終的に制圧する必要があるので、中に入るのは必至だ。

 扉を開く。案の定そこにはアリアハンなる組織の人が何人もいる。

「侵入者だ!きっとあの組織の刺客だ!奴らを捕えるぞ!」

 などと一人に叫ばれ、助けを呼ばれた。すぐさま準備をするも、時既に遅し。

 そこにいた人たちやその声を聞いて集まってきた人たちに囲まれてしまった。

「劣勢になるのは初めてだな…」

「まだ諦めるのは早いぞ太陽。私たちがいればやっていける」

「モゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴ・・・」

 いきなり先生が謎の言葉を言い始めた。どうやら何かの呪文のようだが…。

「モゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴモゴ……二人とも、バリアを張ってくれ」

 突然そう言われた。俺は出来ないので日影に任せる。そうして、俺ら3人を守る結界ができた。

 ドォォォォォォォォォォォォン

 すると突然大爆発が発生した。この呪文は…何なのかさっぱり分からん。

 煙が晴れ周りが見えるようになると、そこには無残な光景があった…。

「…凄い呪文だな…」

「…先生…いつの間にダークサイドに…」

「まさか、こんな威力の技だったとは…」

 どうやら、初めて使った呪文だったようで、この結果は想定外だったようだ。

「さ、次に行こう」

「切り替え早っ…」

「この光景を見てもスルー、強いなこの人…どんな人生送ってきたんだ…?」

 いくら進んでもなかなか奥に辿りつけない。毎回毎回この呪文を使っては、俺たちはやられた人間の無残に焼け焦げた体を見ることとなるのだった。きつい。もう見たくない。どうしてこうなってしまったのか…?


 何度も道を間違え引き返しながら前へ進み、3時間かかってやっと奥へ辿り着いた。

 相手が多すぎる。そしてその相手が出るたびにアン・インストールではなく爆発呪文を…。

「ようこそ、アリアハンへ。早速やりますかね」

 すぐに戦いを挑まれた。取り敢えず名前だけでも名乗ってくださいな。

 などと言っている暇はなくなった。すぐ呪文詠唱をし、バリアを張ってもらう。

 例の爆発呪文だ。俺は勝ったと思った。

 …が、やはりボスは一筋縄ではいかない。

「みんな、あれ唱えるよ」

「あぁ、あれね」

 あれ…何かよくわからないが、多分アン・インストールのことだろう。俺らが全員で使える技などそれくらいしかない。

「アン・インストール!」

「アン・インストール」

「アン・インストール!」

 普段よりも大きい塊が出現、流石に相手はそれを躱すことができず…。

「ああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあ…」

 またしても叫び声とともに光って姿が消える。

「いつも呆気ないな…」

「まぁ、仕方ないじゃない。変に長く戦っていたら私たちの命が危なくなるもの」

「…その分、相手の命は数多く奪われた」

「何か、今回はやばかったな…。先生は最早殺戮兵器だよ」

「物騒なことを言わないでくれ…。私だってあまりこういうのは好きじゃない。相手をジリジリ追い詰めて苦しむ姿を見てアン・インストールをする方が好きだ」

「…どっちも悪質…」

「何かそっちの方が悪質じゃないか」

「じゃ、帰るか…」

「待って、太陽…ブツブツブツ」

「…何だ?」

「…おお、これは…ブツブツブツブツ」

 二人が何やら怪しい行動をしている。そして二人が腹を抱えて笑う。

「何がおかしいんだよ…」

「これで見てみなよ」

 手鏡を渡された。指を指していたところ、即ち髪を見てみる。

「おい!チリチリになってるじゃねえか!お前ら何を…」

「何でもないよ~♪」

「人で遊ぶんじゃねえよ…」

 絶対何かした。ちょっとブツブツ言葉を発していたあたり、きっと呪文を…。

 これはこれでシリアスな雰囲気を吹き飛ばしてくれて良いと思ったが…。

 

 家に戻って、俺はもう一度考えてみた。

 これは正しい行動なのか。今回の任務はそれを疑いたくなるものだった。

 数多くの人が殺される。目の前でそれを見るだけで胸が痛くなる。

 遺族の気持ちはどうだろうか。そう考えると悲しくて泣きそうになる。

 この行為に、何の意味があるのか。はっきり言って、分からない。

 相手は全て犯罪者であり、警察などからも信頼され、GOサインが出ているなどと上の人々は言っているが、果たしてどうなのか。

 この組織は謎ばかり。早くその謎を解き明かしていかなければならない。

 善行ならばともかく、悪行ならば早く止めて、反乱を起こして倒す必要がある。

 若しもそうであれば、みんな何らかの下らない野望によって殺されてしまった、そして俺らが殺してしまった。そういうことになる。

 勿論、善行ならば続けていきたいが…悪行ならばすぐに止める。

 早く解き明かさなければ…

 ………

 ……

 …


「……て!」

「…きて!」

「起きて!」

 …ん?

「仕方ないね、全く…」

 何だか不思議な感じに襲われる。これは…。

「おい!布団被ったまま居間に持っていくな!」

「そういえば二人とも、今日からテストだが、ちゃんと勉強できたか?」

 …忘れてた。

「やばいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」


 …テストの結果は、お察しください。

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