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第一話 まさかの事態

 俺、米里太陽はとても平凡な人間だ。

 16歳。高校生活が始まってから半分は過ぎている。

 それでも、何も起こらない。

 そんな自分が嫌で、アニメを見てよく現実逃避をする。

 俺もあれくらいのことが起きればいいのに…とよく思っていた。

 しかし、そんなことはそう簡単には起こらない。とても残念だ。

 …といったことを考えながら、書店で本を買う。

「…もうこんな時間か、早いな…」

 夜10時。店を入った時はまだ8時だったが、もう2時間も経ってしまった。

 2時間もずっと立ちっぱなしで疲れた俺は、途中にある公園で休むことにした。

 

 が、公園は、異様な空気に包まれていた。

 そこには、一人の高校生くらいの女子と、大柄でヤクザのような男数人。

「…これ、やばいんじゃないのか…?」

 声が出てしまった。それに気づいた男の一人が振り向く。

 咄嗟に木陰に隠れて難を一つ逃れたが、まだその女性が危険に晒されているかもしれないという大切なことは解決していない。

 木陰からじっと様子を見る。

「…この女子の顔、どこかで見たような…」

 そうだ。これは同級生の里塚日影だ。

 いつも一人で、誰も近づけないような雰囲気を出している子だ。

 それなりに美人で、胸もこの歳にしてはあるのだが…性格は全く分からない。兎に角内面は謎に包まれている。そのせいか、良い噂も聞かないが…まさか援助交際とか…なのか?いや、そんなはずは…

「アン・インストール…!」

 などと考えていると、突然謎の言葉とともに男どもが姿を消す。

 すると、里塚さんはこちらの方へ近づく…

「あなたも…彼らの仲間ではなさそうね」

「で、こんなところでこんな時間に、何をしているんですか、里塚さん…変な男に襲われたらどうするんですか?」

「変な男…?あなたのこと?」

「そうじゃねぇよ!俺のどこが怪しいんだ!一応同級生なんだから顔くらい覚えてくれよ…今の男たちのことだよ」

「今のは赤の他人。あなたとも、私とも関係のない人」

「あの…アン・インストールって…」

 凄い気になる。この言葉。相手を消滅させる呪文と聞いたことがある。何故こんなものが使えるんだ…

 などと思っていると、黙り込んでいた里塚さんは口を開く。

「私の行動、見た…?」

「お、おう。一応な」

 流石に嘘をつくような場面ではないだろう。

「私の言うとおりにしてね…」

 そんな言葉とともに、手を繋がれ、混沌とした場所へ瞬間移動した。


「…ここは、どこなんだ?」

「ここは、組織。組織名はかなり上の人じゃないと分からない」

「で、俺をどうする気だ…?」

「上司に連絡をつけて、あなたを私の相棒として活動させる」

「は?相棒!?」

 …意味が分からん。俺は仲良くなったつもりはないですよー?

 などと心の中で叫んでいると、何やら話しているようだ。もう上司に連絡しているのか。

「…あなたは私の相棒として承認された。これからよろしく」

「俺は里塚さんと仲良くなったつもりはないけど…どういうことなんだ」

「…単独で行動しているものは、活動を組織以外の人間に見られた場合、その人が口外して活動ができなくなることを防ぐため、組んで一緒に行動するように決められている」

 ………どうしてこうなった………

 あの場面は、思いっきり嘘を吐いた方がいい場面だったのか…。

 おれは めのまえが まっくらに なった!

「俺も…その、アン・インストールを覚える必要があるのか?」

「その必要はない。諜報活動でもしてくれればいい。あなたは暗殺部隊じゃないから」

 …今のは聞かなかった方がいいかな?

 この組織、やばいかもしれない。

「何の組織だよ、これ…滅茶苦茶やばいじゃねぇか…」

「この組織は、犯罪者や組織にとって害となるものを片っ端から消していくもの。一応警察からも認められている活動らしい」

 そんなことを言われても、怪しいものは怪しい。

 俺は、今後どうなるのか…?




 平凡な日常が嫌だとか考えていたから、こんなことになってしまったのか?

 俺は、今晩のことを、忘れることはないだろう。

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