人間
私は、欠片だ。
世界の、欠片だ。
誰も彼も、在れも其れも、みな欠片だ。
人間という種も、欠片の一つに過ぎない。
なのに、人間は世界を手に入れるだの何だのとよく言う。
本当の意味で世界を手中に収められる者が居るとすれば、それは居るか居ないかも分からない全知全能たる神に他ならない。
人間同士で争い、全ての人間に勝利すれば世界征服?
笑い話にもならない。
人間は勝てるか?
光に、闇に、火に、水に、風に、土に。
利用できる範囲だけを利用し、害となる程の量は防ぐしかない。
これは、逃げているだけだ。
ほんの僅かを利用しているだけで、自らが頂点であると錯覚する人間のなんと多い事か。
数千年程度の歴史が何だというのか?
世界の歴史は桁が違うどころの話ではない。
人間が繁栄したのは知恵のお陰だが、そもそも知恵は人間だけが持つものではない。
異世界や宇宙から敵が攻めてくる物語、身近な町に突如現れるウイルスが猛威をふるう物語。
荒唐無稽か?有り得ないと言いきれるか?
否、絶対など無い。
地球の歴史だけを見ても、地上の支配者があっと言う間に滅んだ前例がある。
人間の歴史だけを見ても、滅んだ国は数知れず。
何を考え、何をしようとも防ぐ事の出来ない災厄は必ずいつか来る。
その時に人間は何を思うのか、私はそれが知りたい。