ヒトマルノハナシ 交渉とゴブリン
唯華は俺を見るなり立ち上がり、檻に飛びついて俺の名を呼んだ。
「竜司?竜司なの?」
彼女は俺の名を間違えることなく呼んだ。つまり彼女は間違いなく本物の神奈 唯華だということだ。
「192番、何をしているのですか。大人しくしていて下さい。すいませんお若い方。彼女の方はこちらで躾けておきますので大目にみてください。」
そう言って唯華を奥へと連れて行こうとしたので、
「少し待ってくれ。そいつは俺の知り合いなんだ。だから今買ってしまいたいんだが。」
そう言うと奴隷商は相当驚いたようで、目を皿の様に見開いていた。
「そうでしたか。ですがこちらもこういう商売で生計を立てているので流石にタダという訳にはいきません。しかしせっかく再開した二人を再び分かつのも夢見が悪い。そうですね、今後も奴隷が必要な際はできる限り当店をご利用して頂くという条件で神王金貨二枚と神金貨七枚でお売りします。さらに今回に限り30日の予約期間を設けましょう。この条件でいかがですか?」
今の俺の全財産は数字換算で247900だから唯華を買うためにはあと22100の額が必要ということになる。だが、ギルドの依頼板を見るにゴブリン一匹で得られる額は250。単純計算して、約900匹狩らなければならない。つまり、1日のノルマが30匹ということだ。だが幸いにも、この町の近くには『ゴブリン畑』と呼ばれる東の草原があるのだ。噂ではあそこのゴブリンは何故かゲームみたいに突然ポップして出現するらしいから、極端な話ゴブリンを全滅させてもいいってことだ。
「分かった。その案に乗らせてもらう。唯華、少しの間だけ待っていてくれ。」
俺の言葉を聞いた唯華が頷くのを見て、俺は草原へと走って行った。




