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対峙

登場人物


東条孝とうじょうたかし 15歳

犬懸智美いぬがけさとみ 15歳

テレパシー……精神遠隔感応。

昨日、体のバランスが狂ったのは精神攻撃によるもの。

脳に直接イメージを送り込み麻痺させるのだろう。

だからこそ、相手に気付かれずに近付ける。

智美が読み取る能力なら、こいつは書き込む能力ってとこか。

相変わらず無表情な能面野郎を見据え思う。

さて、どうしたものか……。

大見得を切ったものの、如何に動くべきか。

まだ、海の物とも山の者ともわからない自分の能力で退けることが出来るのか。

出来る!いや、やる!

昨日だってそうだった。

どうやら複数同時に相手をするのは不得手なようだ。

意識がこちらに向いているのを感じる。

昨日と同じ感覚。

来ないなら……こっちから行くぞ!

遠距離では分が悪い、そう思った。

自分の能力は、触れるほど近くにいて初めて効果が望める気がしている。

「ムダダ……デキソコナイ」

不良品の次は出来損ないかよ、言ってくれるねぇ。

ヴン……。

奇妙な感覚とともに景色が右回転した。

「くそっ……」

膝を付く孝。

どうやら避けることが出来なかったようだ。

ん?避ける……?

昨日の状況を思い返す。

俺はあの時……。

そうか!

ニヤリと笑い、再び能面野郎に詰め寄る。

襲い来る例の感覚。

見えた!

と、同時に意識を研ぎ澄ます。

こうか!?

単なる念動力としてでは無く、バリアとして発動させる。

あの時は無意識にそれをやってのけていたのだ。

捉まえた!

智美が比喩した波のようなオーラが迫り来る。

負けるか!

眉間に不思議な圧力を感じる。

殴り合っているわけではない、向かい合ったほんの数秒。

押し寄せてくる波に飲まれそうになるのを必死でこらえる。

負けない、俺は智美を護る!

「マモリタイカ?」

精神に響く能面野郎の声。

「東条孝……犬懸智美を護りたいか?」

何で知ってんの?読み取った?

ってか、人並みに抑揚があるじゃん。

「純粋にそう願うのか……」

当たり前だろ!

青い波動を浴びながら、孝は心の中で答える。

その瞬間、ふいに背を向ける能面野郎。

同時に引き潮のように消えて行く青いオーラ。

行き場をなくした孝のオーラが、その背中に迫る。

「ダメッ!」

割って入った智美が、紅蓮の炎に包まれるのを見た。


「智美!」

パニクりながら、智美を抱き起こす。

足を止め、その傍らに傅く能面野郎。

端正な顔立ちだが、今はそれどころではない。

「力を過信するな、飲まれるな」

そう言うと、智美の額に手を当てる。

さざ波のようなやさしい波動。

ヒーリング?ふと、そう思った。

襲ってみたり助けようとしたり、こいつは一体何がしたいんだ?

「良かった、二人とも無事みたいで」

意識を取り戻す智美。

「智美、ゴメン……俺……」

マジ泣きそうになった。

何やってんだ、俺……。

無言で立ち去ろうとする元能面野郎に目を向ける智美。

「感情を読み取られないようにブロックしていたのね?」

ゆっくり立ち上がり、その両手を握り締める。

ピクリと反応するその姿に気を配る孝。

まだ、油断は出来ない。

「安心して。私の力はまだ目覚めたばかりで、あなたには遠く及ばないわ」

訳も判らず立ち尽くす孝。

「何故?」

智美を慈しむ様な元能面野郎の感情の篭った台詞。

「あなたのオーラは海の色、それも悲しい青」

昨日も何か言ってたな、海だの波だのって。

「私達は、この力を乱用したりしない。あなたを悲しませたりしない」

なんだなんだ?何の話だ???

一体どうなった???俺だけ蚊帳の外っぽいが……。

智美の言葉に微笑み頷く元能面(ry

「東条孝」

振り向き声を掛ける。

つか、いつまでも智美の手を握ってんじゃねぇ。

「すまなかった。傷つける気は無かった」

いや、だからまず手を離せ。

「俺は……館山仁」

タテヤマジン?

「いつか、また会おう」

正直拍子抜けなんですケド……。

一体何なんだ?何がどうしてこうなった!?

去り行く背中を見つめる智美に声を掛ける。

「え~っと……どゆこと?」

「敵じゃないってわかってくれたってこと」

「あ……そぅ」

って引き下がれねぇだろ、あんな目に会わされて。

「あれは……能力を消す為だったみたいよ」

「アイツ、そんなこと出来るんだ?」

「テレパシーの応用だって言ってた」

ふ~~~ん……って、言ってた?

聞いてねぇよwwwww

「いつか全て話せる日が来るかもって」

そうですか、ああそうですか。

二人だけの世界ってわけですか、そりゃようござんした。

「ところで……」

ジェラシる孝の腕にしがみ付く智美。

「大切な誰かって誰かな~?」

!?

思わず赤面する孝。

言ったwww確かに言wいwまwwしwwwたwwwww

「大切な誰かを護れるなら、俺は受け入れる!」()キリッ!

真似すんなwwwww

「はっきり言ってみたら?読み取られる前に……」

急にお淑やかになる智美。

「お前しかいないだろ……」

観念したように呟く孝の首に抱きつくと、智美は初めてのキスをした。

安房館山城主:犬江親兵衛仁→館山仁

駿馬:青海波(゜ー゜*)

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