決意
登場人物
東条孝 15歳
犬懸智美 15歳
御厨礼儀 15歳
「タカシちゃんはクラブやらねぇの?」
「ちゃんはやめれ」
放課後の教室で雑談している2人。
どうやら御厨に気に入られたようだ。
今日も智美を送るつもりでいたのだが、よりによってこいつに捕まるとは。
「御厨は何かやるつもり?」
「マサノリでいいよ、孝ちゃん」
「だから、ちゃんつけるな」
鼻で笑いながら答える礼儀。
「俺は帰宅部かな、家でゆっくり本でも読みたいわ」
ふ~~~ん、高尚なご趣味ですこと。
「漫画だけどなwwwwwww」
感心して損した。
それよりも智美はまだか?
確認したいこともあるんだが……。
「なんだよ、智美ちゃん待ってたのかよ」
え?何でわかった?お前の能力って???
きょとんとしている孝に、呆れたように応える礼儀。
「注意しろよ、考えてること結構顔に出てるぞ」
な……んだと?
それじゃあ、あんなことやこんなことも……。
うむぅ……。
頭を抱えているところに智美が帰ってきた。
「あ……」
二人に気付く。
「孝ちゃんが一緒に帰りたいってお待ちかねですよん」
ちゃかすように言う礼儀。
「俺もバス停まで付いてっちゃお~っと」
コブ付きかよ……またも頭を抱え込む孝ちゃんであった。
礼儀と別れ、昨日の土手を行く2人。
会話が無いのは緊張……いや、警戒しているせいか?
「あの、さ」
沈黙に耐え切れなくなり、口を開く孝。
「なに?」
見上げる智美。
「智美ってエスパーになっちゃったわけ?」
イマイチ実感が無いし、思い切ってストレートに尋ねてみる。
俺のとは違うようだし、何かが見えるとか言われてもねぇ……。
「ん~~~……」
少し間をおいて応える。
「調べてみたんだけど……リーディングとか言うのっぽい」
「リーディング?」
「日本語だと知識獲得かな」
えっと……つまり……。
「サトミがサトリになったってことか」
我ながら上手いことを言った。
しかしリーディングとわ……ん?リーディング?
恐る恐る尋ねてみる。
「それってサ……人の心が読めるアレ……テレパシーだよね?」
「テレパシーとは違うけど、簡単に言うとそうなるかな」
俯いたまま答える智美。
つまりアレですか?……昨日の俺の良からぬ考えは、全て筒抜けだったわけですか?
あああああああぁ……。
声無き悲鳴。
「まだ自分の意思で読めるわけじゃないし、言葉や文字じゃなくて抽象的なイメージが流れ込んでくることの方が多いっぽいんだけどね」
あああああああぁ……。
「黙れ!」
しっかり読まれてますが()泣
「そういう孝ちゃんは何なのよ?サイコキネシス?」
「分類で言うとそっち方面のような、ただ……」
気を取り直して答える。
「俺もまだ自覚無いわ」
不意に立ち止まる智美。
「私……要らない、こんな力」
良く見ると肩が震えている。
「サトリの化け物なんて嫌だ」
あ……。
何が上手いこと言っただ、激しく自戒する。
俺のような脳天気なら順応出来るかもしれないけど、多感な女の子にしてみれば……。
「ケシテヤロウカ?」
鳥肌が立った、いつのまに?
目の前に昨日の能面野郎が立ちはだかっていた。
「お前、何者だ?」
智美を庇いながら問い質す。
僅かに首を傾げる能面野郎。
「ソノノウリョク、ケシテヤロウカ?」
何を言ってるんだこいつは、昨日あれだけ智美を苦しめておいて。
「孝ちゃん……この人の心読めない」
要らないと言ってたのに、試したのか。
「わかった。この人こそ、テレパス……テレパシー使い!」
なるほど、昨日の不可思議な攻撃のからくりが何となく見えた気がした。
相手の脳に直接攻撃を加える訳だな。
「あ……」
智美の瞳から零れ落ちる大粒の涙。
頭を抱え座り込む。
くそっ!!!
「智美!」
孝は覚悟を決めて言い放った。
「確かにこんな能力無い方がいいのかもしれない。でも……」
拳を握り締め、意識を集中する。
「大切な誰かを護れるなら、俺は受け入れる!」
孝の体は紅蓮のオーラに包まれた。
勘の良い人には既にお判りの能面野郎の正体('A`)
「覚醒」で智美が言っていた台詞……青い海から打ち寄せて来る波のようなモノ=青海波( ゜д゜)!