覚醒
登場人物
清和邑弥 ?歳
東条孝 15歳
犬懸智美 15歳
「孝ちゃん、大丈夫?」
土手に座り込んだまま智美が尋ねる。
「ん。なんともない」
不思議とダメージは無い。
と言うよりも、消えた気がする。
2、3度肩を回した後、放り出されたカバンを拾い上げ智美に手を差し出す。
!!!
見下ろした視線の先、捲れ上がったスカートから覗く見事な絶対領域!!!
こ、これは……!!!。
孝の手につかまった瞬間、声を荒げる智美。
「えっちぃ~~~~~~!」
ちょっwww俺そんなに凝視してましたか!?
「今、Hな事考えてた……」
「綺麗な太ももだなぁと。あ、いや……スミマセン」
訳も判らず謝ってしまった。
ってか、お前こっち見てなかったじゃん???
何でわかったの?
「もぉ~」
呆れ顔で、そして少し恥かしげに拗ねている。
あ……やっぱ可愛いわ、見惚れてしまう。
鼻の下を伸ばしている孝を見上げる智美。
「私って……可愛い?」
「は???」
なんか妙に照れまくっている気がするが。
「あ……うん、可愛いい。ってか、綺麗になったって思うよ」
突然の問い掛けに、思わず本音で答えてしまった。
「えへへ……」
まんざらでもない感じだが、どうしたんだ一体?
!!!
もしかして、フラグか!
俺にも春が来るのか!?
うぉおおおおおお!!!!!
一人盛り上がっている孝を置き去りにして、智美は既に歩き出していた。
「おかあさん?」
紛れも無い、自分を産んでくれた母の顔がそこにあった。
でも、何故こんなに年老いているのだ?
「ようやく目が覚めたんだね、邑弥」
目が覚めた?眠っていた?私が?
状況が把握出来ない。
「何も覚えてない?お前は15年間眠ったままだったんだよ」
15……15年!?思わず周囲を見回す。
壁のカレンダー、年号を見てもピンと来ない。
と言うよりもこの部屋には見覚えが無い。
ここはどこだ?
自分が知っている我が家ではない。
ベッドからゆっくり起き上がってみる。
少し体が重い程度で、異常は感じられない。
「大丈夫?無理しちゃだめよ」
ふと、自分の手を見て違和感を覚えた。
15年も寝たきりでどうしてこんなに血色が良いのだ?
「おかあさん、鏡……ある?」
母が言うことは本当なのだろうか?
見たいものがあった、確かめたいことがあった。
手渡された鏡を覗き込む。
間違えようの無い自分の顔。
これが私の顔……そう、私はサトミ、清和邑弥。
25歳……看護師。
本当に15年経っているのなら40歳ではないか。
だけど、鏡の中の自分はどう見ても20代、何も変わってはいない。
「不思議なこともあるのねぇ、全く年をとっていないなんて」
母の言葉とは言え、にわかには信じがたい。
そして見知らぬ家。
15年前起きた何かのせい?
その時、私はどこで何をしていたんだろうか?
妙に照れまっている智美を自宅まで送り届ける。
なんか様子が変だが、あんなことがあったからだろうか?
「孝ちゃん、かなり投げ飛ばされてなかった?」
思い出したように問い掛ける智美。
「いや、投げられていた訳じゃないけど……そう見えてたの?」
「頭が割れるように痛かったから、何が起きてたのかわかんない」
んじゃ、あれか。
襲われていたのが自分だという自覚も無しか?
「ただ……見えてたよ」
「ん?何が?」
「青い海から打ち寄せて来る波のようなモノ」
「ナニソレ?」
「ん~、上手く言えないけど、あの人が何かしてたんだよね」
その辺りの自覚はある訳か……ん?波?
確証があるわけではないが思念波?
あいつは脳に直接何らかの形で干渉する能力を持っているのではないか。
って、超能力とかねぇよwwwとも思う。
単に合気道とかの達人だったとか……。
って、見えてたって今言わなかったか?
波のようなものが?
智美にも何かが見えてた?
「あの人……何だったのかな?」
「制服からすると山王市内の高校生じゃないな」
警察に行っても信じて貰えないだろうし、帰ってから制服を調べようとは思っているが……。
「んじゃ、ここで」
智美の自宅前、さすがに家に上がり込んでガードする訳にもいかない。
後は何も無いことを祈るしかない。
名残惜しそうな智美に携帯の番号とメアドを伝える、何かあったら飛んでくるからと。
「うん」
か、可愛い……。
嬉しそうな笑顔にまたまたドキドキしてしまった。
「照れるから、やめて」
「は???」
何を言っているのかさっぱりわからないんだが……。
「送ってくれてありがとう、また明日ね」
家に駆け込んで行く智美。
なんだか振り回されてる気がするが、まぁいいか。
今日の所はもう何も無いような気がするし。
すっかり暗くなってきた住宅街に、ようやく明かりが灯り出した。
里見家=清和源氏→清和邑弥 寝たきり=伏せっていた……( ゜д゜ )
山王市……山王……sannou……nans(ry