第14話 次の旅
学校のクラスでは、窓際の席がルナの席だ。
南側では無く、北側に窓がある教室で、夏場は熱くないが、冬になると北関東の山々からの北風が容赦なく吹き付ける。
5階建ての校舎で、3階より上ならば、僅かに北関東の山も見える。
その山の中には、男体山や女峰山、大間名子山と言った日光連山もある。
就職が決まったルナ。
内定を貰ったのは、なんと、東武鉄道関連会社で、勤務地はあの日光連山の麓だという。
東武鉄道は複雑に分社化が進み、ルナが内定されたのは東武のSL大樹関連の企業になったのだ。
これに関しては、東武鉄道を受けた際、勤務地として「日光・鬼怒川地区に行きたい」と強く言い過ぎた結果、関連会社に横滑りと言う形になったのだ。
スマホに銀行アプリから通知が来た。
バイト先からの給与振り込みの通知だった。
「えーっと?」
給与額を見ると、かなりの額が振り込まれていた。
(およ?随分稼いだようだな?)
ルナは思う。
そして、時刻表を見て計画を立てる。
(偶には、変なルートで行こうかな。)
特急「りょうもう」の時刻表を見る。
群馬県の赤城駅まで、特急「りょうもう5号」に乗れば、赤城駅に10時39分に着く。そこから、徒歩で、わたらせ渓谷鐡道の大間々駅まで行くと、10時54分発のトロッコ列車に乗り換えられる。
DE10が12系客車2両と京王5000系改造のトロッコ客車2両の、計4両編成の客車を牽引して足尾まで行く列車だ。
これに乗って、足尾駅で日光市営バスに乗り継いで、東武日光駅に行き、そこから普通列車を乗り継いでいけば、鬼怒川温泉駅に15時15分に着く。また、下今市駅を14時38分に通る。
下今市を14時38分に通るならば、下今市15時01分発のSL大樹7号に乗れるし、鬼怒川温泉まで行っても、鬼怒川温泉15時41分発のSL大樹6号に間に合う。
(と、なれば、話しは決まりだ。わたらせ渓谷鐡道を経由して行こう。)
ルナは頷いた。




