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第9話 繋がらぬ電話

 ルナは先ほど、いたずらして来た男子に「この電話番号にかけていた」と言って、かけて貰った。

 だが、いたずらして来た男子が電話番号に掛けてみると、どういうことか「お掛けになった電話番号は、現在使われておりません」と言う無機質な自動音声が流れて来た。


「一体お前は、どこの誰と話していたのだ?」


 と言われながら、ルナは自分のスマホで掛けてみる。

 するとどうだろう。

 呼び出し音が鳴った。最も、アイルは仕事に戻ると先ほど言っていたので、出る事は無く、ルナは何も言わずに切った。


 試しに、いたずらして来た男子のスマホを借りて掛けてみる。

 すると、同じように、ルナが掛けるとアイルの電話に繋がるのだ。


 だが、


「お前、頭おかしいのでは?さっきからずっとかかりもしない電話番号に掛けてるじゃないか?」


 と言われる。


 どうやら、他の人には存在しない電話番号に掛けていると認識されているようで、ルナだけが認識できているようだ。


「そうだな。毎日が目まぐるしくて、頭おかしくなったのかもな。面倒を掛けた。」


 ルナは言った。

 学校が終わると、今日は週に1日だけ行っている塾に行く。

 塾では、物理、数学、英語の3科目を受講している。

 1コマ45分で間に15分の休みがあり、実質的には3時間、塾での勉強だ。

 塾には学校が終わって17時に入り、終わるのは20時を回る。

 そこから帰宅して、家に着くのは21時過ぎになり、帰宅してから夕食の後、学校の課題や塾の課題を熟してシャワーを浴びて寝る。

 バイトの日も3時間~4時間程度働いてから帰宅するので、ほとんど変わらない。土曜日もバイトに出ることがあるので、丸々一日何もない日と言うのは、日曜日だけだ。


 塾が終わり、また東武線を横目に吾妻橋を渡って浅草駅に向かう。

 東武10000系の区間準急が隅田川を渡って、浅草駅に入って行くのが見える。

 18時56分に東武動物公園駅を出て、浅草まで来た列車だ。

 もう少し早ければ、500系リバティー「けごん」を見られたのだが。

 吾妻橋を渡り切る頃、浅草から群馬の赤城駅へ向かう250系「りょうもう」が見えた。

「りょうもう」を見送りながら、地下鉄銀座線の浅草駅に入ろうとした時、スマホに着信。

 見ると、アイルの電話番号だった。


「もしもし―。」

「あっ!今、仕事がひと段落したよ。」

「ああ、そうですか。お疲れ様です。自分はこれから電車に乗って帰宅するので、申し訳ないですが、21時半頃に改めて頂きたいのですが―。」

「分かったわ。21時半頃ね。」

「申し訳ございません。」

「謝らないで。夕食はしっかり食べるのよ。じゃっ一旦切るね。」


 と、アイルは電話を切った。


「チンチン」と、浅草駅前から都電が出て行くのが見えたが、一瞬で消えた。


(疲れているのかな。都電が走っているわけねえよこんな時代に。今、走っている都電は、荒川線だけだ。)


 ルナは鼻で笑いながら、地下鉄銀座線に乗り込んだ。


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