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太陽と月

美月のアナザーストーリー最終話です

アカデミー賞授賞式での拓也さんのドラマチックなプロポーズは、翌日世界中のメディアの一面を飾った。


『日本のシンデレラ、謎の資産家と婚約!』

『夜の帝王サトウ、ついにその素顔を現す!』


世間は私たちのゴシップで持ちきりだった。

だが、そんな喧騒も私たちにとっては遠い世界の出来事のようだった。



私たちの結婚式は、誰にも知らせず二人きりで行った。

場所は、ハワイの小さな島の小さな教会。

豪華なドレスも、大勢の招待客も私たちには必要なかった。

ただ、神様の前で永遠の愛を誓う。

それだけで十分だった。


結婚後、私たちはそれぞれの世界でそれぞれの戦いを続けていた。

私は女優として、ハリウッドからのオファーを受けるようになった。

拓也さんは、私が世界の舞台で戦うために最高の環境を整えてくれた。

彼が私のために設立した映画制作会社は、ハリウッドでも無視できない存在となっていた。


だが、彼は決して私の仕事に口を出すことはなくなった。

脚本を選ぶのも役作りをするのも全て私自身の意志。


彼はプロデューサーではなく、ただの「夫」として、一番近くで私を信じ支え続けてくれた。



2034年。

拓也さんが予測した通り、ビットコインの価格が頂点に達した日。

彼の資産は、もはや、個人のものではなく、小さな国家の予算に匹敵するほどの天文学的なものになった。


その日の夜、彼はアマンのペントハウスで、私に彼の最後の夢を語ってくれた。

「佐藤ホールディングス」という、未来そのものを創り出すための壮大な船出の話を。


「…すごい、ですね」


私は彼のあまりに壮大な構想に、ただ息を呑んだ。


「お前も、手伝えよ美月」


彼は悪戯っぽく笑った。


「俺が作る新しい帝国の永遠の女王としてな」


私は静かに首を横に振った。


「いいえ、拓也さん」


私は彼の大きな手をそっと握った。


「私は、あなたの隣に立つ女王じゃない。私はあなたの創る世界をスクリーンの中から誰よりも美しく照らし続ける月のような存在でいたい」


私の言葉に、彼は少しだけ驚いた顔をした。

そして、すぐに心の底から嬉しそうな顔で笑った。


「…そうか。それも悪くないな」


彼は私をそっと抱き寄せた。


「俺が太陽になってお前を照らし続けてやる。だから、お前はお前の場所で世界で一番美しく輝いていろ」


私たちは太陽と月。

それぞれの場所でそれぞれの輝きを放ちながら互いを照らし続ける。

ただの夫婦ではない。

ただの恋人でもない。

世界を舞台にそれぞれの夢を追い続ける、最強のパートナー。

それこそが私たちが見つけた最高の愛の形だった。



数年後。

私が再びアカデミー賞の主演女優賞を受賞し、壇上から夫への愛を語っていたその同じ時間。

拓也さんは地球の裏側で人類を宇宙へと導くための巨大なロケットの打ち上げを静かに見守っていた。


私たちは離れていても、いつも繋がっている。

最高の舞台で、最高の夢を共に見続けているのだから。

美月が一番好きです!


本編続編絶賛執筆中です!

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