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デスタウン  作者: 天園風太郎
第1章 自由の夜明け
34/35

第34話 実家

ソドム・ハンマーは暴れたい人達が集まった組織なので、まとまるのに時間がかかります。

 声がした方を向くと、そこには、いつの間にかリヴェラーナを背負っているデスティニーが。


 「でも!」

 「もうすぐ管理局が来ます。バトルできなくなりますよ」

 「ぐうう!」


 ラリーは悔しそうな表情を浮かべると、リリディアに言った。


 「お前、リリディアだっけ?覚えとく」


 ソドム・ハンマーはデスティニーの指示でやっとまとまると、空き地から撤退していった。

 それと同時に管理局員達が走ってくる。


 「あそこだ!」


 ダミアンは慌ててリリディアに駆け寄った。


 「リッチーさん!に、逃げましょう!」

 「デビルズ、シースを」

 「え?あ、はい!」


 リリディアは落ち着いた様子でダミアンからシースを返してもらい、デスナイフを収めた。


 「リッチーさん!」

 「おかしいと思わないか?」

 「え?」

 「何故奴らが、ソドム・ハンマーがいた場所に来る?奴らはロン大聖堂が襲われた時も動かなかったと聞いたぞ」


 管理局、正式名称「ソドム区治安管理局」は、ソドム区内で起きた犯罪を取り締まるのが仕事だ。

 場合によっては拷問などの非人道的なやり方も許可されているため、犯罪者からは恐れられてはいる。

 だが、1991年に創設されてから現在までまともに動いたことはなく、ソドム・ハンマーの悪事もあまり取り締まっていない。


 「わかりませんが、とにかく今は逃げましょう!」

 「・・・・・・いや、その必要は―—」

 「その必要はない」


 突然会話に入る声。

 管理局員達は空き地に着くと、リリディアとダミアンの前に立った。

 彼らは黒い制服を着ているため、アリが集まっているように見える。

 また、帽子を深く被っており、表情が見えない。

 考えがわからず、不気味だ。

 ダミアンは青ざめたが、リリディアは落ち着いたままだ。


 「だよな」

 「だよなぁ!?やばいですよ!」

 「落ち着け。なあ」


 リリディアは管理局員達の方を向いた。


 「親父」

 「親父ぃ!?」

 「ほう。声だけで気づいたか。さすが我が息子」


 管理局員達の中から、1人の男性が前に出て帽子を取った。


 「おかえり。リリディア」


 彼の顔は、リリディアに似ている。

 違うのは、髪の色くらいだ。

 そう。彼がリリディアの父であり、聖主のジョシュア・キルスだ。

 リリディアはサングラスを取って、ジョシュアに挨拶した。


 「ただいま。親父」


 ダミアンは目を丸くした。


 「こ、このお方が・・・・・・!?」

 「おや、彼は?」

 「ああ、俺の仲間のダミアン・ヘルだ。ダミアン、俺の親父だ」

 「あ!初めまして。ダミアン・ヘルです!ダミアンとお呼び下さい!」


 ダミアンは慌ててジョシュアにお辞儀した。

 ジョシュアはニコリと笑った。


 「そうか。息子が世話になっているね」

 「い、いいえ!」


 リリディアはジョシュアにきいた。


 「ところで親父、何故ここに?」

 「光が見えたから、もしかしてと思ってな。言っていたじゃないか。この地区に来ると」

 「ヨハンの代理って言ったけどな」


 リリディアはダミアンと一緒に瞬間移動する前、ヨハンの携帯電話でジョシュアに連絡した。

 「今日中にトゥルーデについて話がしたい」と。

 しかし、街の中央部にいる「彼ら」が傍受している可能性があるため、ヨハン本人のふりをして話し、実際にソドム区に行くのは「代理の奴ら」ということにしておいた。

 ジョシュアには全て見破られていたようだが。


 「ハハハ。わしにそういうのは通じんよ。安心しなさい。管理局とは取引をしてある。お前がここにいることはあちらに伝えられることはない」

 「マジか。どんな取引をした?」

 「・・・・・・ロン大聖堂を見捨てようとしたことを、外のマスコミにバラされたくなければ、我々と協力しろ、と。そんな内容だ」

 「え?そんなので大丈夫か?」

 「ああ。もしもバラされたら、管理局のお仕事がどういうものなのか、世界中に知られてしまうからなぁ」


 ジョシュアが笑顔のままそう言うと、管理局員達は目をそらした。

 リリディアはうなずいた。


 「なるほどな」

 「今度はこちらが質問する番だ。あの光は何だ?おかしな武器を使うとか、そんな無茶していないか?」

 「武器ではないな。あれは、いや、ここで話すのはまずい」

 「え?ああ、わかった。じゃあ、わしの家で話そう」

 「良いのか?」

 「もちろんだ」


 ジョシュアはそう言うと、管理局員達を帰した。

 いつの間にかサイレンは止まり、静かになった。


 「さあ、帰ろうか。わしらの家へ」


 ジョシュアはニコリと笑った。



 リリディアとダミアンは、ジョシュアの家に入った。

 ここは、ロン大聖堂の後ろにある小さな家だ。

 リリディアの実家でもある。

 リリディア達はリビングに案内されると、2人分のマグカップを渡されてココアを入れてもらい、ジョシュアが別の部屋で着替えるまでの間待つことになった。

 2人はソファに座り、部屋を眺めた。


 「ここが、リリディアさんの実家なんですね!」


 ダミアンは笑顔で言った。

 リリディアはうなずいた。


 「ああ。ガキの頃はここに住んでいた」


 壁には家族写真がたくさん飾られ、古い家具には幼い頃のリリディアが書いた落書きがあった。

 このリビングだけ見ていても、様々な思い出が蘇る。

 リリディアは息をついた。

 その直後、テレビの隣の机に2匹のぬいぐるみが置かれているのが目に入った。

 1匹はシルクハットを被っている黒い犬のぬいぐるみで、ボタンの目でこちらを見つめている。

 もう1匹は金色の猫のぬいぐるみで、黒い犬のぬいぐるみの隣に座っている。


 「・・・・・・ん?何だ?」


 リリディアはココアを一口飲みながら首をかしげた。

 昔はなかったものだ。


 「その子達は、トゥルーデからのプレゼントだ」


 ジョシュアが入ってきた。

 先程と違い、黒い私服だ。

 もう着替えてきたようだ。

 リリディアは目の前のテーブルにマグカップを置いた。


 「プレゼント?・・・・・・親父も、作ってもらったのか!?」

 「ああ。誕生日にな。可愛いだろう?」


 ジョシュアがきくと、リリディアとダミアンはうなずいた。


 「そうだな!超可愛い!!」

 「はい!」


 ジョシュアもマグカップをテーブルに置くと、古い椅子にゆっくりと座った。


 「フウ。それで、話の続きは?」

 「あ!そうだった。あの光が何だったのか、だったな。あれはな・・・・・・」


 リリディアは光の正体、そしてダミアンが魔法が使えることを全て話した。

 ジョシュアは目を丸くした。

 だが、誰にも見つからずにソドム区へ来れたという事実があるため、彼はすぐに理解した。


 「そういうことだったのか。魔法は本当にあったのだな」

 「ああ。おかげで何度も助けられたぜ」

 「良かった。ダミアン、感謝する!息子を助けてくれてありがとう!!」

 「え!?い、いいえ!私の方こそ、リリディアさんに助けられてばかりで!」

 「まあ、お互い助け合ってきたってことだ。良いことじゃねえか」


 リリディアは笑って言った。

 ジョシュアはそんな息子の顔を見つめた。


 「・・・・・・ところで、リリディア」

 「何だ?」

 「ここに来た理由は何だ?何の理由もなくこの地区へ来るはずがない」


 本題か。

 リリディアは深呼吸した。


 「あー。聞いてくれるか?」

 「もちろんだ」


 ジョシュアはうなずいた。


 ・・・・・・話を聞き終わった後、ジョシュアはテーブルを叩いた。


 「何を考えている!?あの人でなしは!!」

 「親父、お願いだ。トゥルーデを預かってくれ。あんなクズのところにいたら、本当に殺されちまう」

 「そうだな・・・・・・。だが、その前に1つ聞かせてくれ」

 「何だ?」

 「トゥルーデ本人がどうしたいかちゃんときいたか?」

 「あ!」


 リリディアはハッとした。

 急いでいたせいで、トゥルーデの気持ちを無視してしまうところだった。


 「いや・・・・・・」

 「気持ちはわかる。しかし、相手の気持ちを考えて行動しなければ傷つける結果になることもあるのだ。焦りすぎてはいかん」

 「そうだな。でも・・・・・・」

 「でも?」

 「トゥルーデが死にそうになっているのを見ると、焦っちまう。クソ!」

 「リリディア・・・・・・」


 ジョシュアはリリディアに手を伸ばした。

 しかし、


 「ルシファーが倭寇会と手を組んでいることがわかった今、焦るのは危険だっていうのに」


 リリディアの言葉を聞いて、手が止まった。


 「ま、待て。リリディア、ルシファーが何だと?確か、お前を攻撃してきたのは倭寇会とかいう組織だったな。その組織とルシファーが手を??」

 「え?言っていなかったか?ルシファーがあの場にいたんだよ。倭寇会に攻撃させるために」


 リリディアはダミアンの魔法について話した際、ルシファーがあのカフェにいたことも話したつもりだったが、上手く伝わらなかったようだ。

 ジョシュアは動揺した。


 「あ、あいつはそこまで・・・・・・!?」

 「お、親父?どうしたんだよ?」

 「大丈夫ですか!?」


 リリディアとダミアンはジョシュアを心配した。

 ジョシュアは首を振った。


 「・・・・・・大丈夫ではない。わしのせいでこんなことになったのだから」

 「どういうことだよ?」

 「・・・・・・」


 ジョシュアは3回深呼吸し、しばらくしてから口を開いた。


 「ルシファーが何故ここまで酷いことをするかわかるか?」

 「え?逆恨みだろ?親父に相手にされなかったから・・・・・・」

 「それだけではない。それだけではないんだ。お前に話した内容は、昔あったことのほんの一部にすぎない。お前を、いや、お前達を不幸な運命に巻き込みたくなかったから、全部話さなかった」

 「親父・・・・・・」


 リリディアはため息をついた。


 「じゃあ、詳しく話してくれないか?」

 「聞きたいのか?」

 「ああ。そうじゃないと、本当に親父のせいかなんてわからんだろう?」


 リリディアはうなずいた。

 迷う必要はない。

 ダミアンもうなずいている。

 2人とも、聞くつもりだ。


 「フウ・・・・・・。遠い昔のことだ。わしらが『選ばれし子ら』として生まれたあの時から始まった」


 ジョシュアは語り始めた。

 キルス一族に生まれた3人の残酷で、奇妙な過去を。

ついに明かされるジョシュアの過去・・・・・・!

気になりますね。

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