クロの鑑定結果が凄い件
「グランドウルフっていうのはなぁ〜。レジェンド級の魔物だ。知能もあり、気候を操る魔法を使い、素早さも身体的能力も最高クラスで誰にも捕まえられない。まず出会えることすら稀で、普段は人前に姿を見せない謎の存在だ。その特徴は漆黒の瞳と毛並み。黒を全身に纏っている魔物は、グランドウルフしかいない。そいつぁ間違いなく、グランドウルフの子供だと言える。大きくなれば、馬位の大きさになるぞ。出逢えたことが奇跡と呼ばれるレジェンドの魔物を飼うだなんて……お嬢ちゃん。ありえねぇよ。」
(………仔犬じゃなかったのかっ!!)
「それじゃ〜、この子は……どうなるんですか?」
バーバラは腕の中の仔犬をギュっと抱きしめた。
ギルマスは、ん〜〜っと顎に手を当てて、シブい顔がよりシブくなって厳しい顔になっている。
「……グランドウルフは未知の存在だからな。おそらく国の研究機関に送るのがベストだな。」
「研究機関!?それって実験とかですか??」
「まぁ〜そうなるだろうな。」
(実験とか……………こんなに可愛いのに……ダメだよ、やっぱり。………そうだ!!)
「私がテイマーになってきちんと育てます!!」
「なにっ!!!」
「使役してれば、実験とかナシですよね?」
「バ、バカなことを言うな!レジェンド級の魔物を使役したやつなんて聞いたことないぞ!!」
そこに別の声が加わった。
「マスター……まずは詳しく鑑定して、本当にグランドウルフなのか調べてみましょうよ〜。」
バーバラとギルマスの周囲には、いつの間にかギャラリーが大勢集まっていた。その中の1人が、ギルマスの横に立ち、指をワキャワキャさせながら鑑定を提案してきた。すでに瞳孔が開き、視線は仔犬にロックオンしていて、みるからにアブナイ……。
「はぁ~……魔物オタクが。………分かった。まずはそれからだ。」
「フフフフフフ……。グランドウルフ……。実際にお目にかかれるとは………グフフフ」
怪しすぎる人だが、ギルマスが言うには魔物に関しては最上級の知識と鑑定スキルがあるらしい。ただレアな魔物のこととなると、理性が崩壊するとか……やっぱりヤバい人だった…。
鑑定スキル発動『ファイ・リング』
名前︙■■■■
種族︙グランドウルフ幼体
年齢︙250
魔法︙水魔法、風魔法、電撃魔法、灼熱魔法、氷魔法、闇魔法(暗視)、古代魔法(重力)
スキル︙肉体強化、認識阻害、威圧、変幻、闘争バースト
状態︙聖獣変化(眷属・バーバラ)
「す、す、す、すごいっ!!凄いぞ!!グフフフ」
魔物オタクの彼は興奮して叫びだし、目がほとばしって充血している。何やらブツブツと唱えだして、完全に1人違う世界に行ってしまっている。
魔法もスキルも……何もかも規格外な能力だ。こんなの敵対したら勝てる気がしない。
でも……気になるのが、聖獣って?それに私の眷属に既になってるって……どういう……こと???
「魔物じゃなくて、聖獣!?それに眷属!?」
ギルマスも驚くところは一緒だった。ギ、ギギ、ギギとブリキのようにゆっくりと私の方に向き直った。ギロリと血走った目をして
「………おい。いったい何をしたんだ!!」
「スキルで助けただけです!!!!」
あまりの迫力に私は思わず叫んでしまった。
「スキルだと?いったい何のスキルを使ったんだ!!」
「洗濯スキルです!!!」
シーンと周囲から音が消えた。誰も何も言わない……いや、言えないのかもしれない。だってレジェンド級の魔物を眷属にしたスキルが『洗濯』だなんて、誰も信じられないだろう。
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