白塔の迷宮⑤ ポポロ
それからの戦いは嘘のように呆気なく終わった。
彼女が飛び出した途端に、それまで威嚇してたキラースネイクが
グッ、グッ、ガ、ガッ………、ドスン
口を閉じ、終いには頭が床に落ちた。まるで何かに上から押さえつけられているように。
そこにチャンスとばかりに彼女が持ってるダガーの刃が振り下ろされた。
ガキン!!
「えっ!!何これ!!かったい〜」
「ギ、ギャシャーーーー!!」
キラースネイクの鱗は硬く、致命傷まではいかなかったみたいだ。痛みで首をもたげたキラースネイクが暴れ出した。
彼女が瞬時に飛び退く。
「俺が行きます!!」
今度は俺がっ!サーヤを助けるっ!!
いつもよりも体も軽く、力が漲るのがわかる。
「ハァァァァァァーーー!!」
力の限りに、キラースネイクの首を目掛けて剣を振るう。
ダンっ!!!!!!
そのまま剣が床まで届き、キラースネイクの首が切断され、捕らえられていたサーヤが、ドサっと解放された。
「っ!!サーヤ!!!」
急いでサーヤのもとに駆け寄る。
真っ青な顔をしているが、息をしてる!!
………よかった……。本当に……良かった!!
生きて、た……。もう…駄目かと思っていた。
自然と涙が溢れ出す。
サーヤの状態をみると、サーヤの右腕が肘の下からボーガンごとなくなっていた。
傷口からドクドクと血が広がり出している。
さっきまではキラースネイクに締め付けられていたおかげで、逆にそれが止血になっていたのかもしれない。
急いで手当てしなければ!!
俺は自分の袖を引き千切り、サーヤの腕を締め上げ、止血と傷口の保護をし始めた。
「彼女、大丈夫??」
獣人の彼女がサーヤを覗き込むと、状態が悪いのが分かったのか、グッと眉間に皺を寄せていた。
「助けて頂きありがとうございます。ですが……すぐに手当てしなきゃなので!!後でお礼をっ!!」
サーヤを抱きかかえ、今すぐに安全な所で手当てしなきゃと、駆け出そうとしたところ
「待って!!彼女にも回復を!!」
急いでいた俺は、ピタっと動きを止めた。
やっぱり、俺に回復魔法をかけてくれたのは
……獣人の彼女みたいだ!!
彼女がサーヤに向かって手をかざす。
『ア・タック』
するとキラキラとサーヤが光りに包まれた。
みるみるうちに、サーヤの呼吸が安定したのがわかる。ポタポタと流れていた傷口からの出血も止まったみたいだ。
さっきよりも顔色はいいが、まだ青白い。それでも緊急度はかなり下がったことが分かる。
「ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!!」
涙が自然と出てきた。ホッとして体の力が抜けるのが分かる。
彼女がいなければ、きっと俺もサーヤもここで生命をなくしていただろう……。
「よかったら上まで一緒に行くよ。彼女を抱いたままだと、戦えないでしょ?早く安心出来る1階まで行こう!!」
そう言ってニカッと笑う彼女は、まさに聖女みたいに輝いてみえた。
お読み頂きありがとうございます




