表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/41

白塔の迷宮④ ポポロ

俺とサーヤは同じ村の出身の幼馴染だ。


俺は剣士。サーヤはボーガン使い。


18歳で冒険者になって、初めて挑んだダンジョンが、白塔の迷宮だ。今までは、旅との途中に薬草集めや魔物討伐などしていた。これまで順調にきていた。


正直、ダンジョンを、冒険者というものを、舐めてたのかもしれない。


今までの旅では特に苦戦することもなかったし、村では俺もサーヤも1番の使い手だったから……。


初のダンジョンで気持ちが浮ついてたのかもしれない……。


「もうすぐ3階だ」と2人で地図を見ていた。普段なら周りの警戒を怠らないだろうが、今まで楽勝だったから完全に油断していた。


後ろから音もなく近付いてきていた、キラースネイクの存在に気付くのが遅れた。


気付いて振り返った時には、近距離に迫ってきていた。俺とサーヤが武器を構えると同時に、キバからのシャワーのような神経毒を浴びてしまった。


グㇵっ!!


毒の影響が出る前に、サーヤが反撃のボーガンを放った。矢は大きく開けられた口の中に刺さったが


「ギャシャーーーーー!!」


キラースネイクは怒号をあげ、勢いよくサーヤのボーガンを持った右手ごと、カブりと噛みついた。


「キャーーー!!」


絶叫したサーヤを、離さないとばかりに咥えたまま振り回し始めた。


「サーヤ!!!」


俺は剣を大きく振り被り、キラースネイクを斬りつけたが、キラースネイクの表皮が硬いうえに、毒で段々と上手く力が入らない。


「サーヤっ!!、こんのぉぉ~~!!」


俺は、痺れ始めた体に鞭を打ってキラースネイクを斬りつけると、キラースネイクがサーヤを高々と放り投げる。


「!!!」


キラースネイクがニヤッと笑った気がした。

俺は敵が目の前にいるのに、サーヤに視線をとられ上を向いてしまった隙に、牙が俺の肩に食い込む。


「ぅグっっ!!」


しまった!!

すでに毒で動きずらいのに……怪我まで


それでもっ!!サーヤを助けなければ!!


放り投げられたサーヤを、キラースネイクは蜷局を巻き、そこに捕らえた。


サーヤはグッタリとして意識がないようだ。

なんとか早く助けなければ!!



どうにか片手で剣を構え、キラースネイクを睨み見据える。相変わらず、余裕そうなキラースネイク。まるで、そろそろ毒で動けなくなるのを待ってるみたいだ。




クソっ!!動けっ!!体っ!!


毒で意識も朦朧となってきたが、俺がここで倒れたら……俺も、サーヤもキラースネイクの餌になるだけだ!!



すると背後から、駆け寄る足音が響いた。


『ア・タックーー』


他の冒険者かっ!!??


突然目の前がキラキラと光り始め、全身が光りに包まれたと思ったら……


お、おい。………嘘だろ?…………痛みも、痺れもなくなって、体が軽い。さっきまでの自分と嘘のように違う。……回復魔法なのか??


ま、まさか……聖女がこんな所に?!!!


タッタッタッ、軽やかな足取りで横に並んだ彼女。後にバーバラという名前を知る。


獣人っ!!?

今、俺を助けてくれた聖女が??どっから見ても冒険者にしか見えないが……


しかし……彼女以外に他に誰も見当たらない。


「ギャシャーーーー!!」


新たな敵にキラースネイクが威嚇をした。


はっ!!そうだ!!今は考えるのは後だ!!

キラースネイクをいち早く倒し、サーヤを助けなくちゃ!!


「クロ!いくよ~~!!」

獣人の彼女が駆け出すと、彼女の脇から黒い仔犬も一緒に飛び出した。


っ!!!真っ黒の魔物の仔犬??


いけない!!何よりも今は、サーヤだっ!!

俺も一瞬出遅れたが、両手で剣を持ち直し


「うぉぉぉぉーーー!!」


キラースネイクに向けて駆け出した。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ