薬草採取
王都の冒険者ギルドに、クロをショルダーバックに入れ、いよいよクエストを申し込む。
バーバラはまだFランク。依頼内容も、お休みの今日1日で出来る日帰りのものにしよう。
テンプレだが、薬草採取の依頼にしようかな〜。
魔物討伐っていうのもあるが、まだ王都の土地勘がないのと、もし万が一のことがあったらナバル様にも迷惑かけちゃうもんね……
コキリア草 × 5
銀貨1枚
マゼリン草 × 5
銀貨1枚と銅貨30枚
ん~~どっちがいいかなぁ……。コキリア草の方が安いから簡単なんだろうけど。どっちも初めて聞く薬草なので、判断が難しい。どっちにしろ調べてから出発になりそうだ。
(( クロ、マゼリン草は知ってるよ〜。お腹痛い時に食べるやつ〜 ))
(クロ!!知ってるの??)
依頼書に書かれてる特徴の絵をみて、クロが知ってる薬草みたいだ。
それなら!!マゼリン草の依頼書を持って窓口に向かった。マゼリン草が生えてる場所を聞いて、王都周辺の地図を買い、冒険者ギルドを出た。
確認すると、マゼリン草が生えてる場所は南門から出て、すぐの草原とのことだった。ギルドから辻馬車で20分程で着きそうだ。
クロも一緒だし、薬草もすぐに見つかりそうだな。そうしたらお昼はまた王都に戻って、以前ナバル様に教わったお店に食べに行くのもいいな〜。
南門から出る時に、ギルドカードの身分証とクロの眷属タグを見せて王都から出た。
王都から出るとすぐに草原が広がっていた。
「ついた〜!!ここだね!クロ、一緒に探そうね〜」
『まかせて〜』
クロはショルダーバックから勢いよく飛び出し、草原を元気よく駆け出した。
あっという間に、あんなに遠くに……
最近は、研究所の庭ばかりだったから、たまには広々とした空間で自由に動くことも大切だなぁ〜って思えて、今日クロと一緒に来れて良かった。
「よ〜し。私も、がんばりますか!!」
そうして、私も特徴のある葉っぱを探していく。
クロが言うには、マゼリン草は、葉っぱの生え方が上からの見ると十字架のようになっているそうだ。花が咲くと、ダリアのような華やかな大輪になるらしい。今回は、花が咲く前の蕾の段階での採取するようにとのことだ。
まずはその花が咲いてれば、すぐ近くに蕾がありそうなんだけどな〜。
王都の近くだから、それ程危険ではないと思うが、一応この前買ったダガーも持ってきて、二刀流のスタイルだ。
あまり下ばかり見ていると危険なので、周囲の警戒もしながら草原を探索する。
(( バーバラ~~!!こっちきて~~ ))
クロからテレパシーが届いた。
ん?もしかして開始10分でマゼリン草が見つかったのかも!!クロ天才!!
( 今行くね〜 )
クロの位置は眷属だからだろう、何となくこの辺だなっていうのが分かる。
バーバラがいる位置から南西にいる。
呼ばれた方向に、ダガーで警戒しながら、駆けていく。
しばく行くと、クロが身を屈めながら、何かを凝視しているようだ。どうしたのだろうか…?
( クロ……どうしたの? )
バーバラもクロの横に並び、体勢を低くしてクロが、眺めている方をみる。
クロの視線を辿っていくと、草原が終わった先の岩肌の部分が削られて奥に洞窟みたいになっている。その周辺に…
(!!!ゴブリンがいる!!!)
数は……目視出来るだけで5体。
ゴブリンは臆病なので集団で行動し、卑怯でずる賢い。大きさはバーバラの腰ぐらいと小さく、手には石棒が握られている。
あの洞窟にまだ何匹いるかしら……繁殖力が強く、すぐに数が増えるので、見かけたら駆除対象として扱われる。
( 討伐するわよ )
バーバラはゴクリと喉を鳴らした。
ゴブリンは地元でも退治したことがある。あの時も5匹だった。一匹ずつの力は弱いが、集団で襲われ手足に纏わりつく嫌な戦い方をされる。
奥の仲間を呼ばれたらバーバラ1人だとキツイ。
(クロ……まずは外にいる奴らをまた重力かけられる?)
(( まかせて〜 ))
(3つ数えたらお願い……いくよ。)
バーバラは両手にダガーをギュっと握り、深く1回深呼吸した。
(3、2、……1…GO!!)
そう言ってバーバラは隠れていた草原からゴブリンに向かって駆け出した。
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