王都デート?に出発
バーバラは、グリモとクロに囲まれてヌクヌクしながら寝床につく。
グリモの好物は、ヒマワリのタネとアーモンドだというので、夕飯の時に用意してもらった。両手に持って、カリカリと食べる姿が、また可愛いのなんの〜。
すっかりバーバラはグリモの魅力にデレデレになってしまった。
そして今日のスキルの検証を、ベッドに横になりながら思い出す。
昼間、グリモを眷属にした後、今度はドットという蛙の魔物に「ア・タック」を使ってみた。今度は眷属にしないとしたら、キラキラと輝き、浄化だけされた。この時は聖獣にはならなかった。聖女が行う浄化の効果と同じだという。
ナバル様に聖女扱いされたので、今まで通りでお願いしますと懇願した。
ナバル様曰く、バーバラのスキルだからクロを眷属に出来たのだろうということだ。
「そういえば、クロの時は眷属になるかどうか、スキル画面が出なかったよね……なのにクロは私の眷属になってるのは、どうしてだろ?」
『その画面は僕のほうに出てたよ〜。おそらく僕のほうがバーバラより上位だから、僕に決定権があったんだと思うよ〜』
「えっ!クロのほうに出てたの?……それじゃ〜、あの時にクロは眷属になるほうを選んだってこと?」
『そうだよ〜。前にも言ったでしょ〜。クロね〜、バーバラが助けてくれて、バーバラ好き〜って眷属になったの〜。』
「そういえば……前にそんのこと言ってたね」
『バーバラ好き〜〜』
ゴロゴロとバーバラにくっついてくる。
バーバラはクロをよしよしと撫でると、クロも嬉しそうに目を細める。
(はぁ~しあわせだなぁ〜。クロにグリモに、可愛いがいっぱいだわ〜)
バーバラは幸せいっぱいで眠りについた。
◇
あれからもナバル様と共に、クロの魔法やスキルの威力について検証したり、バーバラのスキルの検証だったり、グリモの状態観察など、充実した毎日を送っていた。
そして研究所にきて2週間がたった頃、レオンから3日後に休みがとれるから、一緒に王都を散策してみないかと手紙が届いた。
ナバル様に相談すると、その日は研究はお休みしましょうと言ってくれたので、すぐに承諾の返事を送った。
そして!!いよいよ今日がお出かけの日!!
今朝起きて、レオンと出かけてくるよと、クロとグリモに言うと、グリモが『それはデートよ!!』と女子力チェックが入った。「レオンだし、そんなんじゃないよ」と言ったが、グリモに聞きいれて貰えず………。
なんだかんだと、グリモのオッケーが出るまで何回も着替えさせられた。
今日のバーバラの格好は、白のシンプルなワンピースに赤色カーディガンを羽織っている。それに肩まである髪をゆるく巻いてみた。
(スカートなんて普段履かないから、なんだか落ち着かないよー。………変じゃないよね?)
グリモの合格点がでるまで本当に大変だった……出かける前に疲れちゃったよ……。
相手はレオンだし、いつものパンツスタイルの格好のほうが動きやすくて楽なんだけどなぁ〜。着慣れないからか、何だかソワソワしてしまう。
研究所の受付からレオンが到着したと連絡が来たので、バーバラは急いで駆け出した。
「レオン〜。おはよ~~」
手を振りながら、満面な笑顔でバーバラはレオンに近づくが、レオンがビシっと固まってしまった。
そして段々と、眉間にシワがよっていく……!!
「え?どうしたの??レオン」
コテンと首を傾げて、レオンの下から覗き込めば、より深く眉間のシワが刻まれた。
「……………………その格好は?」
「この格好………?……、へ、変かな?」
ほら~~やっぱり私にはスカートとか可愛い服は似合わないんだってば……恥ずかしい、…。
「き、きがえてくるっ!!」
くるりと回れ右をしたバーバラは、また部屋に急いで戻ろうとした。
「まて!!」
レオンが、素早くバーバラの腕をとった。
「………変ではない。それは……俺のために?」
「うん。………変じゃないの?今日のお出かけにってグリモがうるさくてさ〜、私はいつものでいいじゃんって言ったんだけど……」
「おい!!グリモって誰だ!男か??」
「い、いいえ!女子です!なんならリーフラットの魔物です」
レオンの勢いに敬語になってしまった。
「………魔物?クロ以外に増えたのか?」
「うん。この研究所で出会ったの」
「そいつが、この格好を?」
「そうなんだよ〜。女子は可愛くがモットーなんだって〜。」
「………………よく似合ってる。」
似合ってるって言う割には、眉間にシワがよってたけど……
「ほ、ほんとにぃ~??」
「………あぁ。たまには、そういうのもいいと思う」
「うへへへ〜。良かった〜。それで今日は、何処から回る?」
「あぁ。行きたいとことかあるか?」
「あるよある〜!!王都の武器屋と防具屋でしょ〜。あと時間があったら、王都の冒険者ギルドに行ってみたいなぁ〜どんなクエストがあるのか見てみたいんだよね〜。レオンは何処行きたいとかある?」
「その格好で…まぁ大丈夫か」
だって、王都だもん。置いてある武器とか防具とか目新しいものがあるに違いない!!
「……王都で人気のカフェをランチで予約してある」
「わぉぉ〜凄いね〜。ありがとう〜えへへ。めっちゃ楽しみだね」
こういうとこ、レオンは凄く頼りになるんだよね〜。ありがたい!!
「それじゃ、しゅっぱ~~つ!!」
研究所の受付の人に軽く手を振り、バーバラは初の王都の街に出掛けていった。
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