リーフラット
ナバル様に連れられて研究所の裏庭にある、施設にやってきた。
そこは特別なシールドを設置し、中で研究対象の魔物を飼育しているそうだ。
主に下級の魔物が多いそうだが、とくに1番多いのがスライム……
スライムは食べた物を何でも溶かすから、ゴミ処理には最適なんだとか。飼育スペースの中には、様々な色のスライムが飼育されていて、ヌメヌメしながら飛び跳ねている。
ガラスシールド越しに見てみたが、バーバラはゾワゾワっと鳥肌が立った。
(私、ヌメヌメしてるやつ苦手なんだよね〜。)
あとは、この前バーバラが討伐したホーンラビットや、ドットという大きな蛙の魔物、水羊アクアシープは、草食の鼠リーフラット、など…ランクが低い魔物を取り扱っているという。
今回は、魔物でも大人しいリーフラットに洗濯スキルを使ってみて欲しいと言われた。
リーフラットは大きさはウサギと同じ位だが、若草色のハムスターである。草食なので大量発生すると、農作物など喰らいつくしてしまう。
攻撃性は殆どないが、怒らせると頬袋に溜めてあるタネを弾丸のように飛ばす。
基本的に夜行性なので、日中はウトウトしているので扱いやすく安全だという。
ガラスシールドから見てみると、リーフラットが数匹集まって丸くなって寝ている。
(か、かわいい〜。これが魔物だなんて……)
「バーバラさん。これから全面ガラスシールドで覆われている部屋に案内します。そこに入って居てください。リーフラットの準備が出来たら、シールド部屋に入れますので、スキルを使ってみてください。大人しいとはいえ、相手が魔物だということ、忘れずに対応お願いします」
「わかりました」
そうして、バーバラはガラスシールドに囲まれている部屋へと入っていった。広さは10✕10mの正方形の部屋だった。一応愛用のダガーも装備してきたが、先ほどの可愛いリーフラットから凶暴な様子は想像できない。
クロを見て魔物が怖がるかもなので、クロはガラスシールドの中には入らずに、バーバラが見える位置に用意された、1人掛けのソファの上で昼寝を始めた。
ナバル様は、ガラスシールド越しにバーバラとリーフラットの様子を観察する。
5分程待っていると、今から入りますと担当飼育の人からアナウンスが入った。
ガチャリとドアが空き、一匹のリーフラットがキョロキョロしながら入って来た。
リーフラットは寝ているところを起こされたからか、少し気が立っているように見える。
部屋の中央にいるバーバラを見つけると、ビクっと驚く様子を見せた。
それと同時に威嚇の姿勢をとってきたので、バーバラもダガーを構え、直ぐに動けるように備えた。
先に動いたのはリーフラットで、素早い速さで床だけじゃなく、横壁もグルグルと走りながら、バーバラに向かってタネを飛ばす。
リーフラットの動きが速く、どの角度から、どのタイミングでタネがくるか分からない状態で、バーバラはタネを全ては避けきれず、弾丸のようなタネは、かするだけでも傷つき血が出てしまった。
(すばしっこいわね!!どうにか動きを止めないと!!)
動体視力がいいバーバラは、リーフラットの動きは捉えられている。ちょこまかと動く姿は可愛いけど、攻撃されてる今は可愛くない。
ダガーでの攻撃は、実験のためなので最終手段にしたいところだ。
(ナバル様には言ってなかったから、躊躇ってたけど……シャ・ボンを使って捕まえよう!!)
『シャ・ボン』
バーバラがリーフラットに向けて唱えると、リーフラットの周囲に膜が出来た。
シャ・ボンで出てきた膜に、リーフラットが閉じ込められ、中でグルグル暴れている。
(ふぅ……リーフラットって、すばしっこいのね)
「なっ!!なんですか??それは???」
ナバル様が叫んだ。
「すみません……後で説明します。すばしっこいので、とりあえず捕まえました。この膜も3分だけなので、今のうちにスキル使ってみますね。」
(シャ・ボンは3分だけだし、今のうちに)
『ア・タック』
まずは自分にスキルを発動すると、いつものキラキラと共に、さっき出来た傷も塞がり、何もない状態に戻った。
ナバル様は、顎が外れるんじゃないか思うぐらい、口をあんぐり開けている。
次はリーフラットの膜がなくなった瞬間がチャンスだ。
パチンと消えた瞬間
『ア・タック』
バーバラはリーフラットに対してスキルを発動した。
するとリーフラットがキラキラと光りに包まれ、おさまった時には、すっかり大人しくなっていた。
するとバーバラの視界にスキル画面が表示された。
『眷属にしますか はい・いいえ』
(わぁ……画面がでた!!)
「ナバル様!!浄化が成功したのか、眷属になるかどうか画面がでてます。」
バーバラは意気揚々とナバル様を振り返って見てみると、まだ口をあんぐりしたまま止まっていた。
「ナバルさま〜!!!」
「はっ!!バーバラさん!!」
「眷属になるか聞かれてますが、どうしましょう??」
お読み頂きありがとうございます。




