私、聖女?
「……ナバル様、じつは私の洗濯スキルは、魔物を浄化出来るみたいなんです。」
「なっ!!それは!!…浄化は聖女でなければ出来ないはずですが………!!!」
そう…、私は洗濯スキルの詳細を、あまり人に知られたくないと思った理由の1つに、浄化は「聖女」しか出来ないものだからだ。
逆に聖女として認めて貰うのに、浄化が出来るかどうかが大切になる。
今回は、ナバル様とは、私の鑑定に伴う情報を他に漏らさず、悪用もしないと契約を結んでいるから話をしてもいいと判断した。
聖女は神殿で生活し、毎日神に祈りを捧げ、各地域に穢れ溜まりや魔物が発生すれば、赴いて浄化するのが仕事だ。
現在この国では、5人の聖女がいる。みな人族である。獣人の聖女だなんて……今まで聞いたことがない。
それに私は「聖女」じゃなくて「冒険者」になりたい。
「ナバル様、魔物に対して使ったのは、まだクロだけなんです。なので浄化出来るのかもまだ不確かで…………、もし出来たとしても、私は聖女じゃなくて、冒険者をしたいんです。なので、協力して欲しいんです。お願いします!!」
今度はバーバラがナバル様に頭を下げる番だ。
魔物に「ア・タック」を使うとどうなるのか、バーバラのスキルを検証するで、ここの魔物研究所であれば、浄化のことも、研究の一環としてバレにくい。それにはナバル様を味方につけるのが得策だと思ったのだ。
「つまりは………バーバラさんは、聖女ではなくて冒険者として活動したいので、浄化が使えることを秘密にしたいと?」
「………はい。そして、出来ればここで、クロ以外の魔物の浄化の検証も出来たらいいなと………。」
シュンとバーバラの耳と尻尾は下を向き、ナバル様にお辞儀をした状態で、チラと上目遣いで様子を伺う。
「…………………ハァ………わかりました。」
考え込んでいたナバル様は、大きなため息の後、承諾してくれた。
「普通は、聖女という名誉ある存在になれたら、泣いて喜ぶところを…………。大丈夫です。バーバラさんの情報を他言しないと契約しましたので、ちゃんとそこは守りますよ。それに!!バーバラが魔物を浄化するのか私も気になりますしね。」
聖女について隠すことを呆れてはいたが、魔物に関する検証についてはノリノリになっていた。
「………バーバラさん。他には何か隠してないですか?一緒に研究するのに、情報は大事です。それに契約を破れば、私は氷漬け?でしたか……。情報を漏らすような、そんな馬鹿な真似はしません。」
そう。ナバル様が契約を破ったと分かった時点で、クロが魔法でナバル様を氷漬けにすることになっている。
「………浄化を魔物以外の個人に使うと、治癒というか……状態回復と言いますか……テヘへ」
頭をポリポリかくバーバラに対して
「なっ!なっ!…、…!それは…もう!大聖女じゃ?………それ………大聖女ですよ!!!」
あぁ……またナバル様が呆けた顔で固まってしまった。なんか………すみません。戻ってきてくださ〜い。
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