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出発

いよいよ王都へ出発だ。3日なんて準備してたらあっという間だったなぁ。


ギルドの前に行くと馬車がもう停まっていた。ちょうどナバル様とギルド長が、馬車の前で話し合っている。

「おはようございます」

クロを胸に抱いて挨拶すると

「!!!!」

ナバル様がこれでもかと目を見開き、ワナワナ震えだした。

「グッ、ググ、グッ……グ、グランド、…、…ウルフ、…!!!本物だ!!!!」


吸い寄せられるようにクロへと伸ばされた手、ギルド長がナバル様を素早く回収した。


「おい!!危ないぞ!!前にも言ったが、バーバラ以外は触れん」


「あ~~……、そ、そうでしたね。取り乱してすみません。」

ショボンとしながらも、目はクロにロックされたままだ。もしかして……魔物ヲタクって、うちのギルドにも居たけど、みんな基本はあんな感じなのかな……?

バーバラは何となく、クロを守るように抱き締める。


「王都に行くにあたり、騎士団から魔物研究所長を王都まで送る際に、騎士を付けさせてくれと話が来てな。護衛はうちの冒険者にさせるつもりだったんだが、騎士団の方も何か都合があるらしく、お願いされてな。………お、きたきた。」


騎士団の制服をきた4名がちょうど到着し、騎馬から降りて挨拶をする。


(え!!!!!あれって!!??)


「第1騎士団の副隊長のダグラスと申します。魔物研究所長を無事に王都までお連れするので、どうぞよろしく。部下のアーロン、ナックル、レオン。私の4名で任務にあたらせてもらいます。」


(やっぱり!!!どうしてレオンが?)


バーバラは、どうしてレオンがここに?一緒に王都まで?見習いなのに任務なの?なんで?……騎士服のレオン…格好いい、…。色々言いたいことがあったが、今はそんな私的な会話をする雰囲気じゃない。


(んも~!どうして一緒にいくこと教えてくれないのよ~~。どうりで土産はいらないって言う訳だわ。)


(( バーバラ〜、レオンも一緒だね〜。 ))


(ん??クロ!!!!???)


(( えへへ、テレパシー使ってみたよ〜。眷属者同士しか使えないけと〜。 ))


(す!すごいね〜クロ!!これで人前でも一緒にお話出来るね!!私も嬉しい〜〜!!)


思わずスリスリとクロを頬ずりすると、何故かナバル様とレオンから視線を感じた。


(ん?どうしたんだろ?2人とも何か用かな?)

バーバラが視線の上げると、クロも2人を認識したみたいで、ちょっとげんなり顔に変わったが、すぐにバーバラの方に顔を戻し、


(( 気にしなくていいと思うよ〜 ))

そう言って、バーバラにスリスリして頬をペロと舐めてくれた。

やっぱりクロって優しくてモフモフで癒される〜。思わず、クロの毛並みに顔を埋める。


そんなバーバラとクロの様子を、目をクワッと見開いて眺めているなんてバーバラは知る由もなかった。

1人は、グランドウルフの動向を一瞬も逃すまいと、…1人は、ただクロに嫉妬してるだけで………。クロにはそんな2人の考えてることが、お見通しであった。なので、ワザとバーバラとイチャつくのだった。


いざ出発となり、バーバラもナバル様て一緒に馬車に乗るように言われ、最初は恐れ多いと辞退したのだが、グランドウルフを人前に出すと、ビックリする人が出てくると困るのでと言われ、最終的には馬車に乗ることになった。


乗り合いの馬車ではなく、貴族様が乗るような馬車は初めてで、何となく身の置き場がない……。

それでもやっぱり、揺れ具合は快適だ。


「先ほどは取り乱して申し訳ない。グランドウルフをこの目で見れるなんて光栄です。私はナバル・ダラザーと言います。ご協力感謝します。」

そう言って、クロに頭を下げた。


『ギャウ』


「…!やっぱり、こちらが言っていることが分かるんですね。それで…なんてお呼びすれば?」


「クロって名前です。」


「それでは、クロ様とお呼びしても?」


『ギャウ』


「おぉ~…ありがとうございます!!早速色々とお聞きしても良いでしょうか??」


『…………』

クロはバーバラの膝の上で丸くなり、顔を埋めて寝る姿勢になってしまった。


「……またの機会にしますね」


「…そうして貰えればと……」

バーバラは苦笑いをして、クロをそっと優しく撫でた。






こうして王都への旅が始まり、2日目までは順調だったが、3日目の移動中に問題が起きた。



ガタっ!!

馬車が急停止した。


「右前方より、魔物襲撃あり。これより戦闘に入る!!」

お読み頂きありがとうございます。

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