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餌付けでチョロクロ

あの後、店員のおじさんが出してきたのは、少し薄汚れているが本物の宝石を使っている中古の品だった。質屋もやっているが、一見の客には普段なら出さないそうだ。商売では信頼が何より大事だからだそうだ。


さっき、おじさんのアドバイスに対して、バーバラが素直に受け止め、お礼を言う、その真っ直ぐなところが気に入ったと言う。


バーバラでも買えるそうな物をいくつか出してきてくれて、あーじゃない、こーじゃないと一緒になって選ぶのは楽しかった。バーバラはやっぱり最初に目についたトパーズが、レオンのような強さと優しさが混ざった雰囲気がして気に入っていた。


(これ!!!…………いいのが選べた……!!)


本当は少し足が出ていたが………、おじさんが祝いの品だとオマケしてくれた。出世払いだと。


結局バーバラは、小さなトパーズが埋め込まれている銀の腕輪を買った。宝石以外に、銀に綺麗な植物の装飾彫りが施されていて、それも大層気に入って購入した。


この腕輪を見れば、初心の心構えを忘れずにいられそうだ。


記念品も無事に買えたし、あとは追加で、クロの今日のオヤツに特別にジャーキーを購入して家に帰った。







家に帰るやいなや、王都に行くことのなったことをクロに話すと

『えーーー。やだよーー。お母さんの料理が食べれなくなるなんてーー。』

母の足元にスリスリしたあと、母の後ろに隠れた。


(……………すっかり餌付けされてる!!)


「あらぁ〜クロちゃん。嬉しいわ〜。」

母もクロに褒められて嬉しいのか、まんざらでもないみたいでニコニコ笑顔である。


「クロ〜。お土産に……ジャーーーーン!!」

ジャーキーを取り出す。クロにとっての初ジャーキーだ。ほらほら〜とジャーキーを揺らしながら迫る。


クンクン……!!

『なにそれ!すっごくいい匂い!!』

母の後ろから飛び出して出てきた。

『バーバラ、ちょうだい〜!!』

今度は私の足にスリスリと擦り寄ってきた。


(なんて現金なのかしら。ふふふ、この為にジャーキーを買ってきたのよね。作戦成功〜!!)


バーバラはジャーキーをほんの少しだけちぎってクロにあげた。


『ん~~美味しい!!バーバラ!!これなに?すっごく美味しいね〜。これ好き!!もっと!!』


「え〜〜でも〜〜クロは一緒に王都行ってくれないって言うしなぁ〜。王都には、もっと色んな種類がきっと大量に売ってるのになぁ〜〜」


ジャーキーをひらひら~とクロの方にアピールしながら、焦らしていると


『クロ!!王都いくーーーー!!もっと食べたい』


(やった!!)


「クロ~〜~ありがとう~~。」


そう言って屈んでクロを抱っこしようと思ったら、クロが俊敏な速さでバーバラの腕を避け、手に持っていたジャーキーを奪いさると、部屋の端に行って、誰にも渡さないとばかりに、前足で挟んでガジガジと大事そうに食べ始めた。


(もう~~~~~~!!完全に食いしん坊なんだこら〜。……いつかナバル様にバラしちゃうからね!)


クロの様子に呆れながらも、一緒に王都まで行ってくれることになってホッとした。


後は、しばらく留守になることをレオンにも一応伝えておこう。


「ちょっとレオンの家にいってくるね〜」

『いってらしゃーい』

クロはジャーキーに夢中で、お留守すると決めたらしい。良かった、ジャーキー気に入ってくれて…。





夕方訓練から帰ってきてレオンに、王都行きのことを伝える。


「王都?」


「そーーなんだよーー。今日ねーギルドに呼び出されて行ってみたらーーなんと!!王都の魔物研究所の所長さんが来てて、一緒にクロを連れて王都に来て欲しいって言われてさー。ギルマスと2人でお願いされたら断れないじゃん。それに!!ギルドの依頼ってことで、旅費とか必要経費はギルドが出してくれるっていうしさ!!私、王都!いってくるね〜」


「その所長と一緒に2人で向かうのか?」


「ううん。クロも一緒だよ〜」


「……王都まで5日間…野郎と2人」

難しい顔でボソボソっとレオンが呟くが、上手く聞こえなかった。

「え?なに?」


「いいや……何でもない。それで、いつ出発?」

「3日後だって〜。だから早めにレオンに伝えておこうと思って」

「……3日後か」

「そうそう!!王都に初めて行くからドキドキだよ〜。獣人の街を出るの初めて。色んな種族がいるんだよね〜。めっちゃ楽しみ!!」


レオンは口元に拳をあてて、何やらさっきからブツブツと呟いている。


「ちょっとーーーレオン!!」

「ん??」

「もう。やっとこっち見たーー。王都のお土産は何がいい??お土産買ってくるからさ。それにね〜今日!!これ買っちゃったんだぁ~~。初めて冒険者として稼いだ記念。イイでしょー」


キラリと光が反射して小さいながらも、黄金に輝くトパーズがついた腕輪を自慢する。


「……あぁ。綺麗だな。」

嬉しそうにはしゃぐバーバラの姿を眩しそうにみて、レオンが言う。


「ねーー。この腕輪!綺麗だよね〜。で!!レオンはお土産は何がいいのぉ??」


「土産はとくになくていい。」


「えーー。じゃあ変な仮面とかになっても知らないからねーー!!」

プンプンと頬を膨らますバーバラであった。

お読み頂きありがとうございます。


早口言葉

『チョコクロを食べるチョロクロ』


むむむ!!……意外にムズい


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