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ギルドから呼び出し

初討伐のクロの騒ぎから2週間後に、ギルドから呼び出しの連絡がきた。


待機の間、バーバラは体を鍛えることをメインにしていた。

色々検討したが、私のスキルは防御と治癒だけだ。攻撃や身体的能力が上がるわけじゃない。私自身が強くならなきゃいけないって気付いた。


それに……この前レオンのスキルを見学しにいって、一人でも強いレオンが2人になって戦える、戦力2倍になったことで、ただでさえ敵わないのに、余計に強くなったのだ。


正直……もうレオンに勝負を挑んでも、勝てる見込みないって思って、……凹んだ。それでもレオンの隣にいて、守られてるだけの存在でいたくない。一緒に並んで歩いていきたいから、やっぱり私、もっともっと強くならないと……。


それに今は一人じゃなくて、クロも一緒にいる。

一人で黙々と鍛錬するよりも、クロが練習相手にもなってくれるし、話し相手にもなってくれる。何より、可愛くて癒されるしね。クロに出会えて本当に良かった。






2週間ぶりの冒険者ギルド『アースガルド』

到着するなり、今回はすぐに一番奥にあるギルド長室に案内された。


「ギルマス。バーバラさんが着きました。」

「はいれ。」

扉の中からギルド長の声が聞こえ、どうぞ、と案内してくれた人が扉を開いてくれた。


中に入ると、ギルド長と……誰だろう。あともう一人いた。冒険者って言うよりも、研究者だろうなっていう人族の壮年の男性だった。


「よく来たな。まぁ座ってくれ。」


ちょうど指し示された空いてる席が、お誕生日席っていうのだろうか……2人の視線が私に集まる。

「失礼します。バーバラ・リドルです」

ペコリとお辞儀をして、指し示された椅子に座る。


「紹介しよう。この方は王都の魔物研究所の所長をしている、ナバル様だ。」

「はじめまして。ナバル・ダラザーと言います。王都で魔物を研究してます。グランドウルフを眷属にしたっていうバーバラさんですね。よろしくお願いします」


「はじめまして。バーバラ・リドルと言います。よろしくお願いします。」


サッと手を出されたので、お互いに挨拶の握手をする。

ナバル様は


「嬢ちゃん。グランドウルフについて色々と話が聞きたいと王都から来てくださった。出来るだけ協力するように頼む。」


「は、はい。」


緊張MAXのバーバラの様子に、クスっと表情を緩めたナバル様は

「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。ギルド長から話はあらかた聞いています。……今日は連れてないのですか?」


「……はい。すみません。……前回、ギルドまで連れてきて騒ぎになったので、家で母とお留守してます。」


「母親と留守番!?お母様が危険では???」

ナバル様がガタっと立ち上がり、今にも駆け出して出ていきそうになる。


「だ、大丈夫です!!母とも仲良しだし、オヤツも用意してあるので、ちゃんといい子にして待ってるはずです。全く危険はないです!!」


アワアワと両手を胸の前で降って、危険がないことを一生懸命に説明すると、またナバル様は椅子に座り直したが……その後は、目をギラギラさせて、どんどん質問の嵐が続いた。


「お母様とも仲良しなのですか?オ、オヤツ……グランドウルフのオヤツ!!?なんですかそれ??」


「え、えっと………クロのオヤツは、ウルフベリーです」


「ウルフベリー!!ちょ、ちょっと待ってくださいね」

胸元から紙とペンを取り出すと、メモをしだした。


「では、普段はどんなものを食べるのですか?」

「それは……えっと何でも食べますが、とくに肉が好きで、……母が作った、鶏の照り焼きが最近のお気に入りです……はい。」


「鶏の照り焼きか!……ふむ。…それでは、朝から晩までの1日の詳細を!!」


(暇だと食っちゃ寝してるって言ったら、クロ絶対怒りそうだなぁ……。)


バーバラはこっそり天を仰いだ。

お読み頂きありがとうございます。

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