表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/41

5次元スキル

いよいよ、今日はレオンのスキルがわかる日だ。


闘技場の中央にはレオンが1人。

四方には結界師が立ち、レオンの周りには結界が張り巡らせてある。

観客席には、学園長と教官達が、レアスキルの研究者の偉い人と何か難しそうな話をしている。


私はレオンのお母さんと一緒に親族席として、観客席の最前列に座っている。クロは家にお留守。


「バーバラちゃん。一緒に来てくれてありがとうね〜。私1人だったら、何かあったと思うと怖くて……」

レオンのお母さんは人族なので、卒業する時にスキル取得の儀式とかないので、レオンが今回こういう事態になって、不安でいっぱいだったんだって。


「おばちゃん。レオンはきっと大丈夫だよ。だってレオンだもん。」

「そ、そうよね……レオンだもの、きっと大丈夫よね」

胸の前でギュっと両手を組んで握りしめ、祈るようにレオンを見つめている。

「ほら〜。おばちゃん。私たちが不安がってると、レオンが緊張しちゃうから、笑顔!笑顔〜!」

そう言うと大きく手を振りながら


「レオーン。ファイトー!!」

中央にいるレオンに聴こえるように声をかけると、レオンも、はにかみながらも手を上げて応えてくれた。


「ね!」

ニコッとおばちゃんに笑いかければ、おばちゃんも「バーバラちゃんたら〜」と笑顔になってくれた。うん。やっぱり笑顔で応援するって大事なことだ。


お!いよいよ始まるらしい。研究者の人が、合図を送ると、会場がシーーーンとなり、張り詰めた雰囲気に変わった。


中央をみると、レオンが目を瞑り『スキル発動』と唱えた。

ほんの数秒だったと思うけど、時間がゆっくりと感じ、焦れったく思える時間が過ぎたあと、しばらくすると、ゆっくりと目を開けたレオン。


『マイセカンド』

心地良いレオンの低音が闘技場に響いた。


するとレオンの存在がブレ始め、姿が2重になり、いつしかレオンが2人になっていた。


「「「 !!!!! 」」」


(どういうこと!!?レオンが増えた!!)


そして何やらレオン同士で話を2人でしている。

どっちが本物……??どっちも本物??

全然区別がつかない……分裂したってこと??


一人のレオンがこっちを向くと、私を見つけたみたいで

「おーい!!バーバラちゃ~~ん」

満面の笑顔で手を降り出した。

それを見ていたもう一人のレオンが迷惑そうな顔に変わり、「やめろ」と止めに入った。

それでもニヤニヤして手を降っているレオンに、バーバラは戸惑いながらも、手を振りかえした。

すると今度は、投げキッスされてっ!!!ボコっともう一人のレオンが殴りにかかっている……。


(あぁ……いつものレオンは止めに入ってるほうね)


だって、いつものレオンは、ちゃん付けで呼ばないし、満面の笑顔も投げキッスなんて……想像出来ないし!


じゃれ合っているのか、一人は楽しそうに、いつものレオンの方は迷惑そうに、私闘を繰り広げていると、レオンの姿がまたぶれ始め、一人に戻った。


一人残されたレオンは、精神的に凄く疲れた表情をしていて、………大丈夫かな〜〜??


呆気に取られていた研究者の人達が、危険がないことが分かったのか、結界が消されて、大人達がレオンの所まで降りて行った。


スキルが特別危険がないって分かったし、長くなりそうなので、おばちゃんと一緒に先に家に帰ることにした。


帰り道、おばちゃんがさっきの2人のレオンを思い出しては、「ふふふ」っと何度も笑いだすもんだから、私も普段ならありえないもう一人のレオンの姿に、おばちゃんと一緒に笑いながら、話の花を咲かせた。


「あのレオン……凄かったわね?笑顔で手をフッていたわ。バーバラちゃんに投げキッスまでして……ふふふふ。姿はレオンなのに…………あははは。ねぇ〜。信じられる??レオンが………ふふふ……レオンが〜」


「ええ。普段のレオンが絶対しないことですよね~~。ビックリしちゃいました~~。クックック。後でからかったら面白そう〜」


「ねぇ〜。まさか、レオンが2人なんて。別のレオン……面白かったわね〜〜。ふふふ」








あとからレオンから聞いた話だと、『5次元スキル』の『マイセカンド』は、別の世界線の自分を召喚できるスキルらしい。

別の世界って……なに?って思ったけど……。

偉い人曰く、パラレルワールドといって、色んな選択と可能性が分岐して、それぞれ別の世界として存在する……らしい。世界は無限に広がっているとか、なんとか……。

難しいことはよく分からないけど、あの時みたもう一人のレオンは、別世界のレオンらしい。

性格や特性が違うレオンがいるって、なんか不思議な感じ。


それに……滅多に見れないレオンの笑顔が見れて役得だった気もする。


そんな話をレオンにしたら、「アイツのことは思い出すな、忘れろ」と本気で打ちひしがれていた。


「凄いじゃん。もう一人の自分に会えるなんて〜。」


「……とんでもないヤツだったがな。」


「え~~!!面白かったよぉーーー。」


「……もう勘弁してくれ」

レオンはガクッと項垂れたので、少し可哀想になり、からかうのは、この位で、許してあげよう〜。


お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ