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24)異世界転移でフルーツを使いたい

------人物紹介--------------------------------------


〇俺:桐森きりもり りょう

竜の加護/魔力探知・水竜の加護

普通の料理人なのに、異世界転移で様々なトラブルに合う。


〇ジャスパー

肌が白く鼻筋の高い顔立ち。茶色い短髪で俺より10㎝は身長が上だ。

最近ポンコツ具合が絶好調な男。キノコ大好き男。

竜の加護/健康祈願の加護・虫除けの加護


〇ルビィ

ガネットの娘の小竜こりゅう

赤い小竜だが、人間の姿に変身している。

人間のマナーは、何故か完璧だ。


〇ジルコン

竜の加護/保護の加護

サーファイに仕える料理人。貴族出身で横柄な性格だが、ルビィの前だと性格が逆転する。夢は王宮の料理長になること。料理の知識はあまりない。


〇ベンヌ

ガネット村で購入したヒヨコが鳥に成長した。初め灰色の姿だったが、灰を被っていて、拭いてみると赤い身体をしていた。俺の魔力暴走時、魔力を食い、止めてくれた。


俺は鶏肉にフォークで小さな穴を開ける。こうすることで、火が通りにくい鶏肉は、中まで火が通りやすくなる。そしてそこに塩コショウをまんべんなく振る。


ジルコンは玉ねぎを切っていた。ちなみに野菜を生で食べるこの町の人達は、からい玉ねぎが苦手な人が多い為、かなり安い値段で売られていた。それに、ほとんどの野菜は自生じせいしてあるものなので、タダ同然である。


そして、フライパンに油を鶏肉を炒め始めた。綺麗なきつね色の焼き目だ。俺はジルコンが切ってくれた玉ねぎをフライパンに加える。


ワインを入れた時はジルコンが慌てた。

「お、おい。それもったいないというか、お前酒は呑まないんだろ?」


俺は笑って言った。

「はは。これは料理酒だよ。加熱でアルコールは、ほぼなくなるんだ。これは風味や香りを加えているんだ。」


ジルコンは不思議そうに尋ねる。

「ルドの実は入れないのか?切ったほうがいいか?」


メラルドの町の特産品の果物である『ルドの実』。今回は果物を使った料理をすると、ジルコンに伝えていた。


俺はルドの実を持って言った。

「大丈夫、切るのは必要ないよ。今回使うのは果汁なんだ。」


ルドの実を握り潰して果汁を加える。しばらく煮込む時間が続いたが、その間ジルコンは必死にメモを取っていた。


料理は十分に煮込まれ、味がしっかり染みている。

〈鶏肉のルドの実煮〉の完成である。ルドの実の甘酸っぱさが鶏肉に爽やかな風味をもたらし、食欲をそそる。



鶏肉のオレンジ煮を参考にして作ってみたが、うまくいったようだ。



「うぐお!!おいひいな!!」

ジルコンはもぐもぐと料理を口に運びながら、またなにやらメモしながら忙しそうだ。



ルビィもパクパクと料理を食べてにっこり笑う。

「うーん!これはガネット村の人たちも好きそうね!!」


二人が料理に喜んでくれているのに安心しつつ、ジャスパーの事が心配だった俺は料理を手にもって立ち上がった。


「俺、ジャスパーにこれ、食べさせてくるよ。二人はゆっくり食べてて。先に宿の部屋にいってるね。」


「ええ、分かったわ。」

「ふぐぐー(分かったー)」

ジルコンが育ちがいいとは思えない程、もごもご口に料理を頬張って返事をする。


すっかり辺りは夜だ。ジャスパーは寝ているだろうが、倒れてから時間が随分経ったから起きてるかもしれない。


俺は料理が冷めないうちにと、足早に部屋へ向かった。


----------------------------------------------------------------------


カチャ


部屋のドアノブを回してそっと中に入る。


「ジャスパー?起きてるか?」


ふと、丸まった布団が気になって触ってみた。


「え、ええ!!いない、ジャスパーがいないぞ!」

慌ててベットの下や、クローゼットを確認したがジャスパーは見つからなかった。



(ま…まさか!!)




----------------------------------------------------------------------


ザザザザ


静かな森で風で木々が揺れ、葉っぱ同士が当たり静かな音だけが響く。


ゆっくりゆっくりと森を歩いていくと巨大な洞窟がみえた。


(俺…どうしちゃったんだろう…。)


ジャスパーは竜に痛めつけられ、気を失って、そして目が覚めて。

気が付けば、また竜のいる洞窟に来てしまっていたのだ。


(また、怒らせてしまうだろうか。それに寝ていては迷惑かもしれない。女性の寝所に向かうのは失礼だし、朝が来るまで待った方がいいか…。)


かつて母が父に恋した様に、ジャスパーも緑色りょくしょくの竜に恋をしていた。


本人にはそれがどうしてか分からなかった。かつてガネットという赤の竜を見た時、怯えあがって動けなかった。そのせいで、リョウを連れ去られてしまった。


それに幼い頃から聞かされていた恐ろしい竜、『震撼しんかん緑色りょくしょく』の実態であった。それなのに、だ。


鶯色うぐいすいろの深い緑をしたうろこに対照的な、エメラルドの様な宝石のごとく輝いたひとみ。初めてみた瞬間に、こみ上げてきた気持ちを抑えきれなかった。



ジャスパーが洞窟の前で動けずにいた、その時だった。


『グオオオオオオオオオオ!!!!!』


けたたましい竜の雄たけびが聞こえた。


「!!!」

ジャスパーの足は動いた。どうしてか分からないが、今駆けつけなくてはと感じた。

身体の底から力が湧いてくるような速度で、足が動く。


ジャスパーは思った。


(これがキノコの力か。)


リョウが以前教えてくれた、キノコに含まれる〈ビタミン〉や〈食物繊維〉について、ジャスパーは何も分からなかったのだが、湧き上がる力をキノコの力だと信じて疑わなかった。







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