エピローグ〜Kerly
リドルは、私が日本に帰るまで、いつでも私を受け入れてくれた。
辛い時期を支えてくれた。
同じように、ルーも受け入れる。
そして、誰にも同じように接する様子は淡々としていて、時には心理分析なのかと疑いたくもなる。
実際そうだった。
ふたりでいる時は、とにかく話をした。
自分でもわからなかった感情を引き出してくる。
蓋を少しずつ開けるように。
ルーに一度、俺たちだってリドルにとっては『one of』なんだよと言われたことがある。
そうかもしれない。
この人は、人に愛を与えてばかりで、自分は愛を感じて安らげることができているのだろうかと感じた。
ある日、マリーとジョンとグレッグを紹介してもらった。
彼らの前では、笑顔も見せず、沈黙したり、悪態をついたりもする。
気を許しているからだ。
私たちの前では、ただただ優しい人なのに。
自分はまだガキなんだと感じた。
それでも、『one of』でも、裸でリドルのタトゥーだらけの胸に抱かれている時は、確かに愛を感じられた。
独占はできなかったが。
リドルは、今も愛しく尊敬できる人だ。
そして、ルーは生涯理解者となる。
《END》