8〜Riddle
カーリーの精神科の担当になってくれたのは、わざわざ夜中に出勤してくれた俺の恩師だった。
「後は任せろ!
お前は大丈夫なのか?」
「俺は大丈夫です。
八木の事もお願いします」
彼は、なぜ俺の精神状態を尋ねてきたのか、その時はわからなかった。
俺も当事者ってことか。
彼らのスタジオに向かう。
カーリーの仲間達は、外国籍だったり、少年犯罪の過去がある奴がいた為、どさくさに紛れて黒川やイベンターが逃してくれた。
捜査の過程で、名前が出るのは確実なのだが。
怪我の処置をし、落ち込んだ様子で集まっている。
俺の顔を見るなり、どんな様子か尋ねてくる。
カーリーの精神状態のみを告げる。
そして、
「お前らも、たぶん、あの時こうしていたらと自分を責めるだろう。
親しい人間ほど自分を責めてしまうんだ」
「でも、お前ら、カーリーを救っただろう!」
「心と体の回復を祈って、いつも通り受け入れてやろう」
「それと、音楽だ。
カーリーにも癒しになる。
いつも通り、毎日かき鳴らしてやれ」
「普段通り、あいつに接してやれ!」
そう言うと、いつになく神妙に聞いている。
そんなアイツらの痛みが伝わってくる。
そして、もうひとり。
ルーは、大丈夫だろうか?
被害者だけではなく親しい関係の人間ですら、心に傷を負い、何年も抱えてしまうこともある。
それが、不協和音になることもある。
救えないことの方が多いのも現実だ。