1〜Kerly
※タイトル名のわりに、(表現的にはかなり控え目にしましたが)きつい内容の部分もあります。
酒、煙草、タトゥー、性表現、性描写、性犯罪(レイプ、性的虐待)、暴力などの記述があります。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
その頃、小さい箱ではあったが、単独でライブができるようになり、ファンだと言ってくれる人も増えた。
ほとんどが、
パンク好きなティーンエイジャーか、
ロック好きなオヤジ達だ。
その中に、マテオがいた。
1歳年上で、物腰が柔らかくて、ゲイだ。
ライブの後とかに、よく同じ店で飲んでいた。
私の数少ない友達のひとりだ。
そのマテオが、リドルのタトゥースタジオに3年前から住み込みで弟子入りしていることを聞いて、私達は、タトゥーを入れ始めた。
リドルは、タトゥーアーティストとして当時すでに有名で、結構な著名人のお客さんもいた。
全てお任せで、リドルに委ねてくるお客さんもいる。
独り立ちして信頼されている弟子も何人もいるので、リドル自身に掘ってもらうのは、稀だ。
リドルは、変わった経歴の持ち主で、タトゥーアーティストの他に、
精神科医の資格を持っていて、病院や、地元の青少年の依存症や貧困や更生などの施設でセラピーもやっている。
若者から頼られるオヤジ的存在だった。
リドルにタトゥーを掘ってもらえるのは、憧れだった。