7〜Riddle
カーリーが完全に眠りに入ったのを見届けて、刑事を外に連れ出した。
すると、刑事がこう言った。
「現場に残っていた男3人もボコボコなんでね、両方の捜査をしないといけないんだよ」
「レイプの被害者は後回しか?」
「そういう意味じゃない」
「あの娘が眠る前に、何を呟いていたかわかるか?」
「いや。よく聞こえなかった」
「レイプの時の状況を反芻して、自分を分析しようとしてるんだよ。
あの娘は、臨床心理学の本を何冊も読んでいる」
「そんな事できるもんなんですかね?」
「たとえ知識を持っていたとしてもだ、被害者は、これから何度もこれを繰り返して苦しむんだよ」
「俺は冷静に捜査しますよ。口出さないで下さいよ」
「あんた、殴られた事はあるだろう?」
「そりゃ、あるさ」
「ケツにぶち込まれた事は?」
「……」
「あの辛さを知らないだろ?」
「あなたは知ってるのか?」
「人は、自分の知っている事を優先してしまうんだよ。
殴られたアイツらに同情して、捜査を優先させている。
レイプの捜査は、無意識に後回しになっているんじゃないか?
違うか?」
「もちろん、両方しっかり調べますよ」
「本当のモンスターが植え付けた恐怖や痛みを、被害者はこれから先、心の中でモンスターとして飼っていかないといけないんだよ」