6ーRiddle
俺が連絡を受けたのは、マリーからだ。
「今、カーリーって呼ばれてる娘が運ばれてきたの。レイプよ」
俺は、すぐに家を出た。
ルーと行き違いになる。
「何かあったの?」
「お前は、家にいろ!
俺が帰るまで、どこにも行くな」
マリーの勤めている病院、俺が非常勤で勤めている病院だ。
救急医療の個室にカーリーは横たわっていた。
八木がカーリーの手を握って、うつむいている。
「病室に入ってから少し興奮したから、鎮静剤を打ったわ。
かわいそうに、両方やられてる」
そういって、マリーは俺を抱きしめた。
病室に入ると、カーリーはまだ少し意識があった。
「痛かったな!辛かったな!」
「もう心配ない」
「俺たちが、そばにいるからな」
言葉は選んだつもりだったが、私情がからむ。
そこに、刑事がやってきた。
「ドクター・エバンス!ずいぶん早いですね」
「後にしてくれ。まだ、何も聞ける状態じゃない」
「ドクター!その間に誘導とかしないで下さいよ」
俺は立ち上がった。
精一杯の冷静さで、
「俺は、今プライベートできている。
誘導って、どういう意味で言った?
この娘は被害者だぞ」
その時、カーリーがブツブツ呟きだした。
正常性バイアス・・・逃げ遅れた・・・・口に汚いバンダナ・・・・抵抗しろ・・・逃げろ・・・・体が動かない・・・凍り付き症候群・・・・ヘビ皮のブーツ・・・・アイツぶっ殺す・・